弟からの電話 -YS- ページ46
YS-side
土曜日。
目が覚めた俺は二日酔いの頭痛に悩まされていた。
昨夜は一日早いﾘｮｳｸの誕生日会に顔出して、久しぶりに飲んだんだっけ・・
今、何時だ？
もう、昼前か・・。
Aは店長と会ったくらいかな・・？
スマホを手に取ると充電切れ。
充電コードにセットして、再びベッドにもぐる。
しばらくすると・・
──Prrr…Prrr…
着信画面にはﾘｮｳｸの名前。
履歴にも何回か残ってる。
昨夜もかけてきてたのか？
悪いな、ﾘｮｳｸ。
・・今は話す気分じゃない。
やがて着信音はやみ、今度はメール。
──だから・・何なんだよ！
手にとってメールを見ると、
RW〈ヒョン！昨日、いつの間にか帰っちゃったでしょ！？〉
──そうだったな・・ごめん。
RW〈Aちゃんも今日が誕生日って知ってた？〉
──え、Aも今日が誕生日！？
そっか。好きな人に祝ってもらえるなんて良かったな。
返信せずにスルーしていたら、さらに次のメール。
RW〈店長さん・・恋人いるみたいだね・・〉
──恋人・・？
じゃあ、どうして今日Aを誘ったんだ！？
俺はベッドから飛び起きて、ﾘｮｳｸに電話をかけた。
RW「もう！話したいことあったのに先帰っちゃうし。何回も電話したんだよ？」
YS「すまん、充電切れてて・・」
RW「メール、読んだ？誕生日って知ってたの？」
YS「いや知らなかった・・。でも、Aは今日店長にランチに誘われたって言ってたぞ？」
RW「えっ！そうなの！？あーっ、今日がAちゃんの失恋記念日にならないといいけど・・僕、見ちゃったんだよね・・」
YS「何をだ？」
RW「店長さんと女の人のキスシーン・・もし恋人いるなら、今日Aちゃんが告白した時点で振られちゃうでしょ？誕生日なのに・・」
YS「え・・」
RW「それだけならまだいいけど・・もし店長さんが女好きの危険な男だったら・・さらに危ないじゃん？」
──Aが弄ばれたりしたら・・それは許せんっ！
YS「ど、どうしたらいいんだ・・」
RW「どうしたらって・・だから昨日話したかったのに！ここまで教えてあげたんだから、ヒョン、自分で考えてよ」
YS「・・ああ、とにかく、サンキュ・・」
RW「・・僕も心配だけどこれから予定あるし・・しっかりしてよ、ヒョン！」
そこでﾘｮｳｸの電話は切れた。
俺は急いで部屋を飛び出した。
どこに行けばいいのか分からなかったが、とにかく車を走らせた。
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作者名：紫桜雲
| 作成日時：2016年1月22日 20時
