オッパは俺だけ！#01～YS～ (ページ40)

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彼女の言葉 -YS- ページ40

YS-side

俺は・・

現在兵役中で、公益勤務になっていることをAに話した。

現役じゃなく公益判定を受けた事で、少なからず非難の声もあった。
それで両親に肩身の狭い思いをさせていないか、心配になることもある。

Aは黙って、俺の目をじっと見つめながら話を聞いてくれていた。

日本人の彼女にとっては、理解するのには難しい話だろうに。

でもだからこそ、先入観がない分、話しやすかったのかもしれない。

時々頷きながら、ひとしきり俺の話しを聞いてくれていたAが、しばらくの沈黙の後、口を開いた。

「あの、こんなこと言っていいのかわからないんですけど・・」

YS「なんだ？」

「・・偉いです。キムさん」

YS「え？・・俺が？」

「はい。日本にはそういう制度がないから、私と同世代の男の子たちは自分の事だけで精一杯ですよ。なのにキムさんは、２年間も・・貴重な時間を国に捧げてるんですよね？」

YS「・・・・・」

「公益とか現役とかは関係なく、それって尊敬します」

──尊敬？俺を？

「それなのに、更にそんな風にご両親のことまで思いやって。すっごく偉いと思います」

彼女の目が真っ直ぐに俺の目を捉え、微笑んでいた。

「あ、変なことばかり言って、なんか生意気なこと、すみま・・」

Aが最後まで言い切らないうちに、俺は思わず彼女を抱き寄せた。

YS「ありがとう・・」

Aの言葉で、胸の中につかえていたものが、溶けていくような気がした。