帰りの車内で -YS- ページ38
YS-side
Aの店を出てﾘｮｳｸを宿舎まで送り届ける。
その車内で。
RW「ねぇヒョン、さっきヤキモチ焼いてたでしょ？」
YS「何言うんだ・・そんなことないぞ」
RW「そう？じゃあ、ﾄﾞﾝﾍﾋｮﾝに話しちゃってもいい？今日収集した情報・・」
YS「へっ！？」
RW「Aちゃんは今まで付き合った男性いないって・・あと、東京でヒョンが店に置き去りにされて・・」
YS「ちょっと待て！それは言うな、絶対言うなっ！」
RW「どっちの情報？」
YS「・・どっちもだ」
置き去りにされてAに助けてもらっただなんて知られたら、どんだけ苛まれるか・・
それに・・今まで付き合った男性がいないなんて、みん彼ﾄﾞﾝﾍの大好物な情報だろう！？
YS「俺は・・Aのことが心配なだけだ。変な虫がつかないように守って・・」
RW「ヒョンは保護者なの？」
YS「え？」
RW「ヒョンが認められるような男なら応援できる？あそこの店長さんとかさ・・本当は誰が相手でも嫌なんじゃないの？他のヤツと仲良くしてほしくないって顔してるよ」
YS「お前の考え違いだ。それに女は・・懲りてるし」
RW「まだそんなこと・・何を怖がってるの？Aちゃんはヒョンが心配してるようなことはないよ」
YS「Aがいい子なのは分かってる・・第一、俺は兵役中だし」
RW「世の中の兵役中の人は、誰も恋愛しちゃいけないの？結婚してる人だっているじゃん」
YS「いや、俺たちは・・一般の人とは違うだろ？」
ELFを待たせて兵役についている俺は、恋とか愛とか言っていい立場じゃない。
RW「だけど・・Aちゃんはヒョンのこと“会社員のキムさん”って思ってるんだよね？」
YS「それは・・俺のことを詳しく話したことがないから」
RW「ヒョンが本当のことを話せないのは、“キム・ジョンウン”としてAちゃんの近くにいたいからじゃないの？」
──そうなのか？
本当のことを知ったら、今までのように接してくれなくなるかもしれない。
俺は・・それを恐れているのか？
YS「だがAのことは妹のように可愛いと思ってるだけだ」
・
・
・
それからは沈黙のまま宿舎に着いた。
RW「今日はごちそうさま。気をつけて帰ってね。あ、今朝は雨だったからAちゃん自転車じゃないかもね。歩いて帰るのかな・・じゃあね」
ﾘｮｳｸは手を振って、俺の心に爆弾を落として帰っていった。
そして、気付いたら。
俺はまたAの店に戻っていた。
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作者名：紫桜雲
| 作成日時：2016年1月22日 20時
