オッパは俺だけ！#01～YS～ (ページ29)

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大雨の夜 -YS- ページ29

YS-side

Aの部屋でカレーを食べた時から数日。なかなか夜の散歩でも会えないでいた。

メールは何回かやり取りして。
最近は予約の客が多くて、ずっと遅番らしい。

〈コミンちゃんに会いたいです～(T_T)〉

そんなメールが来たから、俺とコミンのセルカを撮って送信。

YS「コミンもAに会いたいよな・・」

そう言いながらコミンを撫でる。

いや、実を言うと俺が会いたいのかもしれない。

あの懐かしい感じの原因もわかって。
Aの部屋での初めてづくしが俺ってわかって。

Aの部屋で過ごしたあの時間がすごく居心地が良かった。

YS「ん？雨か・・」

ふと窓から外を見ると、激しい雨が降っていた。
時計を見ると、ちょうどAの店の閉店時間。

いつも自転車で通勤してたけど、こんな雨じゃ無理だろ？

タクシー・・は、きっと使わないな。
何せ、布団を自力で担いで運ぼうとしていたくらいだからな。

気付けば、俺はキーをつかんで、Aの名刺に書いてあった店の住所まで車を走らせた。

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Aの店の前。
看板の灯りはすでに消えていた。

従業員らしき影が何人か出てきたのが見えたが、その中にAの姿はなかった。

もしかして行き違ったか？
メールしてみるか？

そう思った時、Aが出てきた。

傘もささずに、パーカーのフードを被って、出入り口の鍵をかけている。

やっぱりな・・
来て正解だったな。

そう思って、傘を掴んで降りようとした次の瞬間・・

白い車が走ってきて店の前で止まり、
ニッコリ笑ったAが、その車の助手席に乗り込んだ。

──A！？

なぜ、そんな行動をしたのか分からない。俺はその車の後をついて走っていた。

Aを乗せたその車は、マンションの地下駐車場へ入っていった。

なんだ・・
俺じゃなくても、Aを送ってくれる人はいるのか。

アイツが雨に濡れなくて良かったじゃないか・・

なのに、どうしてだろう。
言いようのない、説明しきれない気持ちが、俺の心の中に湧いていた。