名刺 -YS- ページ24
YS-side
向かい合ってコーヒーを飲みながら。
改めてAの顔を見る。
Aがあの時の・・
あの親切にしてくれた店員だったという事実がわかり
やっぱり、会ったことがあるんじゃないかというあの感じは、俺の思い違いじゃなかったんだな。
そうか・・お姉さんはSHINeeのテミンが好きなのか。
会話をしながら、事実を確認しようか、どう聞こうかと考えを巡らせていたその時。
Aの言葉が更に俺を動揺させる。
「たまに芸能人とかも来るんですよ」
一体、誰がAの店に？
超、気になる・・
俺の知ってる奴か？後輩か？
ここは、思いきって聞いてみるか・・
YS「なぁ・・“スーパージュニア”って知ってるか？」
「あ、メンバーの多いグループですよね？全員は知らないんですけど・・たまにそのグループの人たちもお店に来ますよ」
YS「えっ！」
だ、誰だっ、誰なんだ？
超、超、超、気になるぞっ！
「なんか、日本の店にも来店されたことがあって私も何度か接客したらしいんですけど・・覚えててくれたみたいで」
ま、まさか・・
俺が置いてきぼりになった時か？
だとしたら・・ﾘｮｳｸかｷｭﾋｮﾝか！？
去年の話、ここでしてみようか？
でも、どう話す？
俺の失態が露見するし！
「こんな事、韓流好きの姉に言ったら大騒ぎになるから言えませんけど。ふふっ」
話を出したところで、毎日数多くの人を相手に接客していたら、いちいち覚えていないよな。
う〜・・一番聞きたいところがっ・・
もやもや・・するっ！
「キムさん、アイドルとか好きなんですか？」
YS「いや、そういう訳じゃないけど・・」
Aは少し不思議そうな顔をした後、
「キムさんも今度お店に来てください。サービスします！」
そう言いながら店の名刺を渡してきた。
フロアチーフ？
A、意外とすごいんだな。
──あ・・
俺はあることを思いついた。
YS「あのさ、紙とペン貸して？」
「え？いいですけど・・どうぞ」
Aが渡してきたメモに電話番号を書いて渡す。
YS「ちょっと、そこに電話してみ」
「え？今ですか？」
俺がうんうんと頷くと、スマホを取り出してダイヤルした。
──Prrrrr…Prrrr…
YS「おう。俺だ」
「え、キムさんの番号ですか？」
YS「これ、登録しとけ。今日みたいな時は遠慮しないで連絡しろよ」
Aは少し驚いた後、
「はいっ！ありがとうございます」
そう言って、満面の笑みを浮かべた。
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作者名：紫桜雲
| 作成日時：2016年1月22日 20時
