写真 ページ21
You-side
今日は丸１日お休みだったから。
１人でバスに乗り、大きなショッピングセンターに出掛けた。
お姉ちゃんやお母さんがいつ来てもいいように、布団を買った。
初めは買う気なくて。
でもお店のお姉さんに、早口でいろいろ勧められちゃって・・なんだかすごいボリュームになっちゃった。
バスには・・こんなの持って乗ったら迷惑だし？
配送してもらえば良かったかな・・
タクシー使っちゃおうかな？
って思っていたその時。
持っていた布団を誰かにヒョイっと持ち上げられた。
驚いて振り返ると、サングラスをして決めっ決めのキムさん。
「車だから」って乗せてくれて。
マンションまで送ってくれて。
おまけに部屋まで運んでくれた。
やっぱり男の人なんだなー。
楽々と持ってくれて。
本当に助かっちゃった。
そのままお帰りいただくのも悪いし、コーヒーを淹れてると、なんだか落ち着きのないキムさん。
サングラスを外して、部屋の中を珍しそうに見てる。
マグカップにコーヒーを淹れてテーブルに置く。ブラックでいいのかな？
YS「これ、日本にいた時の写真か？」
コルクボードの写真を見て、いろいろと聞いてくるキムさん。
「そうです」
近くにいったら振り向いて、目を見開いて、じっと私の顔を見てる。
──ん？なんか付いてた？？
しばらく凝視してたけど、コルクボードに向き直り、質問してきた。
YS「これ、誰の結婚式？」
お姉ちゃんの結婚式の写真を指差す。
「お姉ちゃんです。３つ上なんですけど、一昨年結婚して・・」
YS「Aの着てるのはなんだ？」
「“フリソデ”っていうんですよ。日本では20歳のお祝いの時に着るんですけど１回しか着てないのは勿体ないって・・」
YS「カワイイな・・」
──トクン・・
そんな風に改めて言われたら照れるじゃないですかっ。
あ、でも振り袖がってこと？
YS「この学生服着てるのもA？」
両親に挟まれてセーラー服を着た私。
──あ・・それ。
「高校に入学した時のですね・・」
YS「ふーん。Aはお父さん似なんだな。あれ？結婚式にはお父さん出れなかったのか？」
「・・この入学式の時がお父さんと撮った最後の写真なんです・・」
YS「え・・？」
「このすぐ後に・・病気で」
あ、気まずそうにしてる。
YS「・・すまん、思い出させたな」
そう言うと私の頭をポンポンと撫でてくれた。
キムさんの手が温かくて、あまりにも優しくて、ちょっとだけ、キュンとした。
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作者名：紫桜雲
| 作成日時：2016年1月22日 20時
