団体さん ページ3
You-side
翌日の夜、その団体さんを一番大きな個室に案内する。
「いらっしゃいませ〜こちらにどうぞ」
「お飲み物は何にしますか？」
メニューやドリンクの説明をしながらオーダーをとる。
──男の人が多いな・・注文も多い。
出来上がった料理は他のスタッフも運んでくれるけど、料理の説明や質問には全て１人で対応してるから、結構大変。
中には、日本の料理に興味があるのか、料理名や作り方なんかを聞いてくる人もいる。
──でも、みんな美味しそうに、楽しそうに食べてくれてる♪
それを見て、うれしくなる。
私って接客業が合ってるんだなと思う。
せっかく大学まで行ったのにって、お母さんには言われそうだけど・・
この店で、このまま正社員として採用してくれないかな？
宴もたけなわな感じで盛り上がってる。
追加のオーダーが入ったので、厨房にいきながら空いた食器も下げようと、両手で抱えて立ち上がった。
『・・あっ！』
個室を出たところで、人にぶつかりそうになり、ちょっとよろけてしまった。
──まずいっ！割れるっ！！
と思った次の瞬間。
ガシッと体を支えられ、食器を落とす事もなく、転ばずに済んだ。
??「・・大丈夫？」
ぶつかりそうになったのに支えてくれた人は団体さんのお客さんの１人だった。
「あ、すみません。私は大丈夫です。ありがとうございます！」
??「ん・・」
その男の人は、そのまま個室に戻っていった。
『ふ〜助かった・・』
それからも、ドリンクのオーダーをとったり、追加注文を運んだり、休む間もなく動いていた。
やがて宴会はお開きになったようで、会計まで私が担当し、お客様をお見送りする。
「ありがとうございました〜！」
団体さんは、迎えのバンとタクシー数台に分かれて、帰っていった。
徹『A、助かったよ。今日はもう上がっていいぞ』
『ありがとうございます！じゃあ、個室の片付けしたら上がらせてもらいますね』
個室に戻り、テーブルを拭いたり、片づけをしていると・・
『え・・？』
個室の戸が開き、さっきの男の人が入ってきた・・
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作者名：紫桜雲
| 作成日時：2016年1月22日 20時
