怖い人？ ページ13
You-side
『ん・・？』
ふと気がつくと、小さなワンコが私の足元に擦り寄ってくる。
『あれ、どうしたの？飼い主さんは？』
よく見ると、お姉ちゃんが飼っていた犬のテミンに似てる。
抱き上げたら、私の頬の涙をペロペロしてくれる。
『慰めてくれてるの？・・カワイイね〜このまま私のおうちにくる？』
その時、背後からバタバタとした足音と男の人の声が聞こえた。
振り返ると、黒尽くめでマスクをした男の人が、ハァハァと肩で息をして立っていた。
YS「コミン！」
コミン？この子の飼い主さん？
「この子、あなたのワンコちゃんですか？」
YS「ハァ・・そう。リードが手から離れちゃって・・ほら、おいでコミン」
その男の人が両手を広げて、ワンコちゃんを迎えに来たけれど。
あらら・・前足でその人の顔をパンチ。
嫌がってるよ？
本当にこの人、飼い主？
おっきな黒いマスクして、顔わかんないし。
なんか・・怖い・・
「あの・・本当に飼い主さんですか？なんか、この子嫌がってるように見えるんですけど・・？」
YS「本当だから！っていうか、どちらかというと俺より弟に懐いてて・・」
「犬を誘拐する人もいるって・・聞いたことがありますけど・・？」
YS「！！！」
「飼い主って、何か証拠はありますか？」
YS「え・・証拠？うーん・・」
その男の人は考えこんで、
YS「あ、そうだ。これ見て・・」
スマホを取り出し画面を見せてきた。
YS「ほら、これ見て。これ弟。こっちが俺。で、この子がコミン」
「これ、本当にあなたですか？ 顔、わかんないんですけど。マスク外してもらえませんか？」
YS「え・・」
その人は人形のように固まった・・
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作者名：紫桜雲
| 作成日時：2016年1月22日 20時
