17.五年前〜5〜 ページ17
酒場のマスターとカクさんのおかげで、仕事も住む所も見つかり、滑出しは思っていた以上に順調だ。
「そういえば、名前は？」
ふと思いついたようにカクさんが尋ねてくる。
「Aです。
ヴェルト・D・A」
自分の名前をつげ、手をさしだす。
「分かってるかもしれんが、わしはカクじゃ。」
よろしく頼む。としっかりと握手を返してくれた。
話はとんとん拍子に進み、早速仕事先に案内してくれるというので、カクさんと一緒に酒場を出て歩き始める。
飲み物の代金はいつの間にかカクさんが支払ってくれていた。と、いうよりも私にお金がなかった。という方が正しいだろう。
一文無しで酒場に入るあたり、計画性も何もあったもんじゃない。
自分があまりにも無計画だった事に若干の頭痛さえ感じた。
カクさんには何度もお礼を伝え、働いたら必ず返す。と私の方で条件をつけさせてもらい、今回はご馳走になる事にした。なんとも申し訳ない。
それにしてもーー
名前……つけといてもらって良かった。
ディーオが、私のもともとの苗字じゃ「ここの人じゃないって思われちゃうかもよ」と、「A」の前につく、ファミリーネームをつけてくれたのだ。
しかもミドルネーム付き。
Dって、ミドルネームだよね⁇
なんにしても、
このディーオの判断は正しかった。と言える。
もし、次会えたらディーオにお礼言わなきゃね。
「なぁ、A？」
神様にいつか感謝の言葉を伝えよう。そう思った矢先、カクさんに声をかけられた。
「なんですか？」
カクさんを見上げながら聞く。
「ちょっと、遅くなってきとるから急いでもいいか？」
「もちろんですよ」
「よし、そんなら！」
そう言ったと思ったら、カクさんがひょいっと私を抱き上げた。
えっ？
ええっ⁉
私が驚いていると、「しっかりつかまっとるんじゃよ」と言うか言わないかのうちに、ものすごい速さで走りはじめた。
速い！
やっぱりこの人、凄い人だ！
改めて、私の事を抱き抱えて移動している、彼の凄さを実感させられる。
が、しかし
今はそれより気になる事が1つ。
(なんで所謂、お姫様抱っこなんだろう。)
いくら急いでいるといっても、
これは恥ずかしすぎる！
とにかく早く、この体勢を何とかして欲しい。と心の底から願うばかりである。
※
主人公のファミリーネームは固定にしました。
まぁ、ほとんどでてきません。
ヴェルトはドイツ語で「世界」という意味です。
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奏(Kanade)(プロフ) - 詩織さん» ディーオのことまでそんな風に言っていただけるなんて！！詩織さんが尊いww (2021年12月30日 23時) (
レス) id: 2a68d08880 (このIDを非表示/違反報告)
詩織(プロフ) - ディーオ尊いな…………. (2021年12月2日 14時) (レス) @page12 id: 2cd8c67a18 (このIDを非表示/違反報告)
奏(Kanade)(プロフ) - MAREさん» コメント、気がつかなくてすみません。ディーオは分かるのですが...吸血鬼ってなんでしょう？すみません、無知で。ちなみに前文にも書いてますが、12話まではキャラ誰も出てこないですwwすっとばして13話以降からお読みくださいねー(^^) (2021年7月20日 1時) (レス) id: 2a68d08880 (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - やばいディーオとか吸血鬼しか出てこないw (2021年5月25日 23時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
奏(Kanade)(プロフ) - jaさん» そうなんですよー。でも、きっと言い方やニュアンスによって言葉は変わりそうですが、単語のみの意味だとそうなります^ ^勉強になるだなんて、恐れ多い！！笑 (2020年3月22日 13時) (レス) id: 9dfcc2ee40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奏 | 作成日時：2017年12月10日 12時
