129. あゝ、アラバスタ！ (1つの水 2) ページ34
男性は反乱軍の話しをしながらも尚、砂を掘り続けている。
その姿から、この地に対する彼の並々ならぬ思いが伝わってくるような気がした。
彼の話しによれば、何度も砂嵐に襲われたこの町では持久戦すらままならない状況となり、反乱軍は『カトレア』という所に本拠地を移したと言うのだ。
『カトレア⁉』
その途端、ビビは目を大きく見開きはじめる。
反乱軍が居ない。と、いう予想外の出来事に驚きを見せるのは当然だが……ビビはそれ以上に『カトレア』という地名に強い反応を示しているのが、私には少しばかり気がかりとなった。
「どこだビビ。それ、近いのか⁉」
「『ナノハナ』のとなりにあるオアシスよ」
ーーナノハナ⁉
私たちが初めに立ち寄った町。
いま反乱軍はその町のすぐ隣にいるというのだ。
だからビビはあんな表情を見せていたのか！
よりによってこんな後手にまわるなんて‼
ただでさえ少しの時間さえ惜しい中、今回のことはなかなかの痛手だ。
「とりあえず、いそいでその『カトレア』という町に向かうしかないわね」
「……そうね、Aさん」
頷きながらも浮かなげな表情を見せるビビに、声をかけようとすれば、先ほどの穴を掘り続けていた男性がビビを見つめていた。
なんだろう？
「ビビ……⁉ ……今……、ビビと……⁉」
ーーあ、しまった！
ビビはこの国の王女だ。さっきルフィがビビの名前を呼んでしまっていた。そのせいで気がつかれたっておかしくはない。
のに、
「おい、おっさん‼ ビビは王女じゃねェぞ‼?」
ルフィが決定打をうってしまった。
「ビビちゃんなのか……⁉ そうなのかい……‼?」
「……えっ⁉」
「生きてたんだな。良かった……‼ 私だよ、分からないか⁉」
ルフィの誤魔化しきれていない言動に「おいおい……」と苦笑していれば、事態は思わぬ方へと向かっていく。
「……‼ トトおじさん……⁉」
「そうさ……」
「そんな……‼」
どうやら、ビビとあの男性は知り合いだったようだ。
ビビの驚く様子に、私とルフィは互いに顔を見合わせながら首を傾げる。
トトさんは、涙をため「国王を信じている！」「反乱軍を止めてくれ‼」「もう君しかいないんだ‼」そう、悔しそうな怒涛のような叫び声を上げていた。
「おじさん……⁉」
ビビの弱々しげな声は、渇いた砂に吸い込まれていくようだった。
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奏(Kanade)(プロフ) - アリスさん» ありがとうございます！よろしくお願いします^ ^ (2021年5月2日 18時) (
レス) id: 9dfcc2ee40 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 返信ありがとうございます！また更新してくださって嬉しいです！これからも応援しております。 (2021年5月1日 18時) (レス) id: 7e246103d6 (このIDを非表示/違反報告)
奏(Kanade)(プロフ) - アリスさん» 初めまして！コメントの返信が遅くなってすみません。連載この連休で少し進める予定です。アリスさんにこの連載を好きと言っていただけて、すごく嬉しいです！頑張る気力が湧いてきました笑(^^) (2021年4月29日 14時) (レス) id: 9dfcc2ee40 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 奏さん初めまして！いつもこの作品を楽しく拝見させていただいております。この作品はもう更新しないのでしょうか？私はこの作品が凄い好きなので、良ければまた更新再開して欲しいです！ご検討よろしくお願い致します。 (2021年4月6日 18時) (レス) id: d582cbc40a (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑炭酸(プロフ) - 夢主愛され最高ですよね！！ お悩み中なのですね！救済していただけると私はすごく嬉しいですが死んだとしても奏様のこの作品大好きです！これからも応援してます！ (2021年1月16日 18時) (レス) id: 72cb3f7599 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奏 | 作成日時：2019年9月25日 19時
