96.あゝ、アラバスタ！ (追随の疑問 2) ページ1
白ひげ海賊団の船に乗っていたという私。でも、海賊として一乗組員だったわけではないらしい。エースの説明に皆んな疑問だらけだ。そんな彼らの思いを代表するかのように、ナミが「どういうことか？」と、質問を投げかけた。
エースはそんなナミの言葉に目元を少しだけ細めながら考えるような素振りを見せている。
「ん〜、説明が難しいなぁ……。つまりだ、毎日一緒に居る訳じゃなくて、目的地が一緒だったりすると、一緒に航海したり、たまにフラっと遊びに来たり……そんな感じだ」
………………ダメだ。ますます分からない。
「えっ〜と、つまり私はそんな自由な感じでかの偉大な四皇の元に遊びに行っていたってわけですか？」
「まぁ〜、そうだな。っと、それよりA！ 敬語戻ってんぞ」
「あ、ごめん」
もしかして……以前の私ってものすごく自由奔放な自由人だったのだろうか。
エースの話しぶりからするに、あまりにもフランク過ぎる気がしてならない。
こめかみの辺りを人差し指で軽く押さえながら「うーん」と、思わず唸ってしまう。
そんな私を見てエースは「変に思い違いしてんだろ」とカラカラと笑いはじめる。
「おれたちは、何度もAを仲間に誘ってたし、今でも仲間にしたいと思ってる。それにーー
おれたちは、たとえ仲間という名の繋がりはなくても、お前の事を大事な家族だと……みんなそう思ってる」
「……家族？」
「あぁ、白ひげ海賊団は大きな家族だ。お前はその中でオヤジが唯一認めた『娘』だ」
樽の上に座っていたエースは、言葉を紡ぎながらいつのまにかその場から降り、すぐ隣に腰を下ろしていた私の前まで来て視線を合わせるようにしゃがみ込んでいた。
絡み合う視線の中に、慈しむ色をした眼差しが現れ、彼が白ひげ海賊団をどれほど大切に思っているのかを感じとれたような気がする。
そんな大切なものの中に、私を入れてくれていたというの？
覚えていない分際でおこがましいのかもしれない。でも、エースの言葉に私は心から喜んでしまっていた。
「ありがとう、エース」
「ん？」
「そんな風に思っていてくれた事がすごく嬉しくて……ありがとう」
「おう」
エースは大きく笑顔を見せてから、また私の頭を撫でてくれる。その感触に嬉しさとくすぐったさが合わさり、肩を震わせてクスクスと小さな声を漏らしていた。
きっと私は今……とても幸せそうに笑っていることだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 561人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奏(Kanade)(プロフ) - アリスさん» ありがとうございます！よろしくお願いします^ ^ (2021年5月2日 18時) (
レス) id: 9dfcc2ee40 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 返信ありがとうございます！また更新してくださって嬉しいです！これからも応援しております。 (2021年5月1日 18時) (レス) id: 7e246103d6 (このIDを非表示/違反報告)
奏(Kanade)(プロフ) - アリスさん» 初めまして！コメントの返信が遅くなってすみません。連載この連休で少し進める予定です。アリスさんにこの連載を好きと言っていただけて、すごく嬉しいです！頑張る気力が湧いてきました笑(^^) (2021年4月29日 14時) (レス) id: 9dfcc2ee40 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 奏さん初めまして！いつもこの作品を楽しく拝見させていただいております。この作品はもう更新しないのでしょうか？私はこの作品が凄い好きなので、良ければまた更新再開して欲しいです！ご検討よろしくお願い致します。 (2021年4月6日 18時) (レス) id: d582cbc40a (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑炭酸(プロフ) - 夢主愛され最高ですよね！！ お悩み中なのですね！救済していただけると私はすごく嬉しいですが死んだとしても奏様のこの作品大好きです！これからも応援してます！ (2021年1月16日 18時) (レス) id: 72cb3f7599 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：奏 | 作成日時：2019年9月25日 19時
