願いを叶える魔法使い(hr) ページ38
「そんな真面目なヒラくんに、ご褒美をあげよう」
「ご褒美？」
「そうそう。私の秘密を知ってしまったヒラくんに、私の力を見せてあげようと思って」
顔を上げたヒラくんにニィ、と無邪気に笑う。私は遊んでばかりで、悪いことしてしまったし。多分ヒラくんはやらないだろうけど、先生とかに報告されたら私が後でサボってたこと怒られるし。口止め料ってやつ？
「一つだけお願いごとを叶えてあげる」
「…へー、それってなんでもいいの？」
「もちろんさ」
私は魔法使いだよ？と箒を持ったままエッヘンと構える。ヒラくんは悩む素振りを見せた後、お願いを決めたのか、私を見て口を開いた。
「じゃあさ、好きな人にコクりたいから応援してよ」
私はびっくりした。まさかのお願いだ。
「え…そんなのでいいの？てゆーかヒラくん好きな人いるの？」
「まあ…。Aさんの秘密知っちゃったから、俺の秘密も教えてみた」
まさかの宣言！これはビックニュースだ！あ、でも秘密なら誰にも教えられないか。誰かの秘密を共有するのは何だか嬉しいものだ。
「いいよ、応援する！ヒラくんイケメンだし絶対うまくいくよ！頑張って！」
「うわぁホント？嬉しいなぁ。よしわかった。じゃあコクるね」
うおおおお！なんかすごいドキドキする！
いったい誰なんだぁ？！
「好きです」
「……ん？」
「好きです、付き合ってください」
私は固まった。え？ちょっと待ってヒラくん。
「…私？」
「うん」
「うそ」
「こんなうそついてどーすんの。魔法使いなんでしょ？叶えてよ」
「さっき絶対うまくいくって言ってくれたよね」と言われてしまい、頬に熱がたまるのを感じる。
「叶えて、ほしい…？」
「もちろん」
さっきまでの勢いがなくなる私などお構い無しにクスクス笑うヒラくんの頬に、魔法をかけた。
「私も、好きだよ」
叶えて差し上げましょう、その願い。
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作者名：わたがし | 作成日時：2020年5月11日 9時
