【短編集】恋する君の唄【実況者】 (ページ27)

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どうか許さないで(fj) ページ27

キヨに、愛想尽かされた…、萎えるって言われた。
そりゃそーだよね、私…キヨから逃げてきたから。
庭まで逃げてくると、私は影に座り込んだ。静かに泣いた。キヨ、ごめんね。

「ざまぁ」
「キヨくん可哀想～」

イチイチ追って来たのか、暇な人達だな。そう思っていたら水を掛けられた。今度はホースの水だった。

「キヨくんを苦しめた罪」
「最低女」

もう…どーでもいい……、黙って受け止めていた途端、水が掛からなくなった。その代わり、温もりに包まれる。びっくりして見上げると、そこにはフジがいた。

「フ、フジくん…？！」
「止めろよ」
「フジくんに掛けたわけじゃ」
「聞こえなかったのか？」

今まで聞いたことないような低い声で、フジは最後に彼女らへ向けて冷たく「消えろよ」と吐いた。逃げ出す女達を見てから、フジを見上げる。なにやってんのフジ………、あんたまでびしょ濡れになっちゃったよ？

「フジ…濡れちゃったよ？」
「Aちゃんもね」

抱き締められた手は緩まない。それを意識しないためにわざと話を茶化す。