【短編集】恋する君の唄【実況者】 (ページ22)

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片割れの君(hr) ページ22

「…俺は、」

男なんだよ。お前とは真逆の、異性なんだよ！確かに子供っぽい部分はあるし自分でも幼い部分があるって自覚はある。だけど、だとしても俺は……、

「…ヒラくん？」

男の部屋に普通に入ってきて、警戒心もなく男に近付いてきて、心配そうに顔を覗いてくる女。この時点でもう、答えは出てるとわかっていても俺はこのまま子供扱いされるのは嫌だ。

「俺は…！」

Aの手首を掴んで、無防備な体を押し倒し、上に乗って怒鳴った。

「俺は男だよっ！！ちょっとは警戒しろよ！子供扱いするなよ！！」
「ヒ、ラ…くん？」
「俺はっ…」

こんなにもお前を……、

「俺が弟に見える？それとも子供に見えるとか？…ハハ、残念。俺は、男なんだよA」

「っ！」

男と女…元々一つの魂だった。別たれた魂だからこそ、Aは異性として俺を見れないの？

「すごい、苦しいな…ッ」

Aの胸元に頭を置く。恋ってこんなにも苦しいもんなのかな？それとも、俺だけなのかな？

「俺を見てよッ…馬鹿A…」

一人の男として。
一人の異性として、見てよ。

「ヒラ…」

優しい声音。優しい手つきで頭を撫でる指、そのどれもが、子供を慰める母親のような仕草で…、俺の視界が歪んだような気がした。

「…好きだ、A」

届かないとしても、伝えたいと思ったのはきっと、君が俺の失われた片割れだと思ったからだろうな…なんて、ね。