321・ ページ21
ーAsideー
帰らなきゃ。わかっているのに足が動かない。
恐ろしく、そして
焦る。
『あははは 』
叫び声にも似つかわしい私の笑い声は暗闇の中に彷徨い、雨とともに地面に打ち付けられて流れていった。
暑くも寒くもないのにじめっとする空気は何時もに増して気持ちが悪い。
ー
((ﾐｰﾝﾐﾝﾐﾝﾐｰﾝ ﾐｰﾝﾐﾝﾐﾝﾐｰﾝ))
「めさん、東雲さん」
柔らかいもので肩を掴まれ揺さぶられる。お姉ちゃんじゃない。金木さんでも芳村さんでもない。
私のことを東雲さんって呼ぶのって、タコ先生と烏間くらいじゃなかったっけ。
重い頭を起こして腫れているであろう目を開ける。
「おはようございます」
『殺せんせ……？』
あれ？なんで学校に？ていうか今何時？え？？テストは？
「ご安心をまだ学校は始まっていませんので」
『学校が始まっていない…？今何時ですか？』
「5時40分です」
『…そう、ですか』
よかった。
『あの、私なんでここに？昨日の記憶があやふやなもので、よく覚えてないんです』
「校舎前で倒れているところを発見したのでとりあえず保健室に」
『校舎前に？』
「はい。外傷は見当たらなかったので手当はしていません」
からっからに乾いている制服。きっとタコ先生がどうにかしてくれたんだろう。
『色々ありがとうございました。心配かけてすみません』
「いえいえ。大事ないようで何よりでした」
ベッドから降り布団を整える。
机の上に並べられた教科書やノートはふやけていてシワが付いている。タコ先生がカバンから出して乾かしてくれていたんだろう。だけど流石に紙は「元通り」にはならなかったらしい。
『今日、テストですね』
「はい」
『…頑張ります。先生の触手とか、そういうのはどうでもいいんです』
「どうでも…！？」
衝撃を受け落ち込むタコ先生を見て慌てて補足する。
『どうでもいいっていうのは…先生の触手を破壊することを目的に頑張るんじゃなくて、私は私なりの目的を持ってテストを受けたいなと思って』
「と、言いますと？」
『私は学校に通い始めてからしばらくの間、「どうせ仕事に就けないんだから」「どうせ人間として生きることが許されていないんだから」と喰種であることに甘えて何事も中途半端にしていました。だけどもうやめにしたいんです』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 154人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「暗殺教室」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
eye(プロフ) - 名倉さん» ありがとうございます！夢主ちゃんの複雑な感情が伝わってよかったです。更新頑張ります！ (2019年5月25日 0時) (
レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
名倉 - part7おめでたうです！ 真相が明らかになっていく...！ 夢主ちゃんの感情がひしひしと...こう、ひしひしと伝わってきて、すごいなぁと思います。eyeさんのペースで更新頑張ってください！ (2019年5月24日 22時) (レス) id: c1e6d1df23 (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - よつぎさん» ありがとうございます！なかなか物語が進まず申し訳ないです…！完結目指して頑張ります！！ (2019年5月20日 1時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
よつぎ(プロフ) - いつも、楽しみに読ませてもらってます！Part7でも、更新頑張って下さい！応援しています！ (2019年5月20日 0時) (レス) id: 1767016ec7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：eye | 作成日時：2019年5月19日 22時
