310:あの頃に ページ10
ーAsideー
チャイムが鳴りそれぞれが席に着く。
いつもは「えー！もうチャイム鳴ったの！？」とうなだれるカエデもテスト前ということもあってか今日は素直にチャイムに従った。
「それではHRを始めます」
いつものように挨拶をし、いつものように一斉射撃を行う。そしてこれまたいつものように当たらない。
もう悔しさも感じない。こんなの無意味だとわかっていても、みんな必死に取り組む。その姿が不思議でたまらなかった。
「ヌルフフフ。今日も0です。殺せるといいですねぇ。卒業までに」
いつものセリフを言ってから朝の連絡を始める。
毎日毎日繰り返されるこの流れ。デジャヴのようにも感じる。だけど意識をしてみると少しずつ「何か」がずれていき、日常は崩壊していっているのだ。
最近私はこれに気づいてしまった。そのせいでひどい虚無感に襲われる。
「__です。今日は非常に暑いので熱中症にならないよう各自水分補給をしっかりしてくださいね」
ああそっか。今日って暑いんだっけ。
「…ねぇ」
右から聞こえてくる声に耳を傾ける。
「何があったのかなんて、聞かないほうがいい？」
『…説明するのがめんどくさい』
「そう。ならいいけど」
業は濡れた眼差しを向けてくる。同情？悲しみ、苦しみ、痛み……私が他人から一番向けられたくない眼差し。
『大丈夫だって。誰にも何もされてないから』
「そういうんじゃないけど」
『え？』
業はこっちを向いたまま机に頭を乗せる。そして静かに目を閉じた。そよ風が髪を揺らす。
ー
ー業sideー
「何があったのかなんて、聞かないほうがいい？」
Aは少しの沈黙の後心底めんどくさそうな顔をしてその通りの言葉を吐いた。
『…説明するのがめんどくさい』
「そう。ならいいけど」
最近Aがわからない。
修学旅行あたりで距離が一気に縮まって、そこからAの考えていることが何と無くわかるようになった。
それが今はどうだろう。何も感じない。
俺とAの距離が開いてしまったのか、それともA自身が「無」なのかは定かではないが、どちらにせよ俺はAを救ってやりたいと思った。
『大丈夫だって。誰にも何もされてないから』
何も聞いていないのにそう言うAと俺の間には取り除くのが難しい障害物があった。
「そういうんじゃないけど」
邪魔だな。これさえ無くなってくれればまたきっと、
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eye(プロフ) - 名倉さん» ありがとうございます！夢主ちゃんの複雑な感情が伝わってよかったです。更新頑張ります！ (2019年5月25日 0時) (
レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
名倉 - part7おめでたうです！ 真相が明らかになっていく...！ 夢主ちゃんの感情がひしひしと...こう、ひしひしと伝わってきて、すごいなぁと思います。eyeさんのペースで更新頑張ってください！ (2019年5月24日 22時) (レス) id: c1e6d1df23 (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - よつぎさん» ありがとうございます！なかなか物語が進まず申し訳ないです…！完結目指して頑張ります！！ (2019年5月20日 1時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
よつぎ(プロフ) - いつも、楽しみに読ませてもらってます！Part7でも、更新頑張って下さい！応援しています！ (2019年5月20日 0時) (レス) id: 1767016ec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：eye | 作成日時：2019年5月19日 22時
