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ーAsideー


「家のことは誰にも言ってはいけないよ」と念を押す。


黙って頷く業。言葉のない頷きはなんとなく信用できた。


生徒玄関から屋敷に着くまではお互い無言だった。



「でか…」



屋敷を見た最初の反応はみんな一緒。



「こんなでかい屋敷があるなんて知らなかった」


『…入ろっか』


「入っていいの?」



入り口を指差しながら引きつった顔で尋ねてくる。



『うちだからいいんだよ』



相変わらず鍵はかかっていない。屋敷内は珍しく電気がついていなかった。



「寒…クーラーつけっぱなしじゃない?」


『…?』



あぁそうだ。今は暑さも寒さも感じられないんだったっけ。



『あ、あぁ。そうだったかも…。とりあえず部屋行こうか』


「靴はどこで脱げばいい?」


『土足でいいよ』



私が小さい頃使っていた子供部屋はなんとなく恥ずかしかったので客室に通すことにした。


部屋に入るとふんわり漂ってくる珈琲の香り。客室の低いテーブルの上には湯気が立っている珈琲が、真っ白なコーヒーカップに注がれていた。コーヒーと珈琲の間にはチョコレートやクッキーなどのお菓子が置いてある。



「誰かいるの?」



警戒して身を縮める業。



『…うん。そうだね。これも話さないといけないんだ』



1人で納得する。


相変わらず警戒心を弱めない業はゆっくり腰を下ろした。



『そんなに緊張しないで』


「…この家にいるのって人間じゃないでしょ。喰種?」


『そう』


「ずっと見られてる気がする」


『ずっと見られてるからね』



業は目を見開いて身震いした。



「そこらのお化け屋敷より何十倍も怖い」


『…この家にいるの、私の双子の片割れなの』


「双子だったのなんて初耳なんだけど」


『誰にも言ったことなかった。業が初めて』


「俺が、初めて」



珈琲を啜る。前よりも味が格段に上がっているのが分かった。練習をしたのかメーカーを変えたのか。



『全部は話せないから簡単に説明するね』



業は視線を私に向けながらも皿に並べられているチョコレートを手に取り匂いを嗅いでいた。



『私たちはもともと人間だったの』



口に入れかけていたチョコレートが音を立てて机に落ちる。



「は?」


『ある医師によって私たちは喰種(化け物)へと作りかえられてしまったんだけどね』


「人間が喰種になることは可能ってこと?」


『うん』



業は興味深そうに相槌を打ち、落としたチョコレートを口に入れた。

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eye(プロフ) - 名倉さん» ありがとうございます!夢主ちゃんの複雑な感情が伝わってよかったです。更新頑張ります! (2019年5月25日 0時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
名倉 - part7おめでたうです! 真相が明らかになっていく...! 夢主ちゃんの感情がひしひしと...こう、ひしひしと伝わってきて、すごいなぁと思います。eyeさんのペースで更新頑張ってください! (2019年5月24日 22時) (レス) id: c1e6d1df23 (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - よつぎさん» ありがとうございます!なかなか物語が進まず申し訳ないです…!完結目指して頑張ります!! (2019年5月20日 1時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
よつぎ(プロフ) - いつも、楽しみに読ませてもらってます!Part7でも、更新頑張って下さい!応援しています! (2019年5月20日 0時) (レス) id: 1767016ec7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:eye | 作成日時:2019年5月19日 22時

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