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303・ ページ3

ーAsideー


ドアを閉めた音で私の存在に気づいた四方さんは少し驚いたようにこちらを見た。



「…いたのか」


『さっき来たばかりです。それで話って?』


「ああ。……お前はあの家で何が行われていたか覚えているか?」


『いえ。…少し思い出したんですけどね。私の部屋にある隠し階段を降りると地下室があって、

そこで実験が行われていたということは。でもなんのために行われていたのかは…』



四方さんは「そうか」と言ってそれは深いため息をついた。



「いつかこんな日がくるとは思っていた。俺の口からお前の過去について話すなんてできるだけ

したくはなかったんだがな」



いつになく優しく微笑む四方さん。



『四方さんは一体何を知っているんですか?』


「…お前は自分の全てを知る権利がある。聞かれたことは知っている範囲で全て答えよう」



知りたいことは何かってことか。



『じゃあ…地下で行われていたあの実験は何のために?』


「あれはお前を完璧に作り上げるための実験だ」


『意味がわからないのですが』


「…アリスを憶えているか」


『はい』


「お前らが結合双生児だったということは…?」


『思い出しました』


「…そうか」



四方さんはフェンスにもたれかかりながら腰を下ろした。私も四方さんの隣へ行き同じように腰を
下ろす。こうやって並んで話をするのも久しぶりかもしれない。



「あの頃お前たちは最高傑作と呼ばれていた。戦闘力も治癒力も高い完璧な作品だと。

だが、事件をきっかけにお前たちは2つに別れてしまった。それを見たお前たちの親は

ひどく絶望した___」





そんなある日例の嘉納先生がやってきて、両親に「もっと素晴らしい作品を作ろう」と言った。



「素晴らしい作品ですか…?ですが結合双生児をもう一度見つけ出すというのは難しいかと」


「そうではないよ。彼女たちをもう一度使うんだ」


「と言いますと?」



嘉納はポケットからAとアリスの写真を取り出す。



「どちらかを実験台にし、もう一方を最高傑作に仕上げるんだ」



どちらを実験台にするかは君たちが決めるといい。嘉納はそれだけ言い残し、屋敷から出て行った。



「どうする…」


「…私無理よ。どちらか1人を選ぶなんて」



興味本位で買ったものの、育てていくうちに芽生えるのは愛情。


絶望したのだって傑作が壊れてしまったからではない。


嘉納の手によって2人が消されてしまうかもしれないからだ。

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eye(プロフ) - 名倉さん» ありがとうございます!夢主ちゃんの複雑な感情が伝わってよかったです。更新頑張ります! (2019年5月25日 0時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
名倉 - part7おめでたうです! 真相が明らかになっていく...! 夢主ちゃんの感情がひしひしと...こう、ひしひしと伝わってきて、すごいなぁと思います。eyeさんのペースで更新頑張ってください! (2019年5月24日 22時) (レス) id: c1e6d1df23 (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - よつぎさん» ありがとうございます!なかなか物語が進まず申し訳ないです…!完結目指して頑張ります!! (2019年5月20日 1時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
よつぎ(プロフ) - いつも、楽しみに読ませてもらってます!Part7でも、更新頑張って下さい!応援しています! (2019年5月20日 0時) (レス) id: 1767016ec7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:eye | 作成日時:2019年5月19日 22時

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