拾伍話 ページ18
ざわざわとざわめく居間。
誰、とか、何で、とか、平野は、とか。
抹茶、慌てず行こうぜ。
そう自分に言い聞かせる。
平野への罪悪感は隠して。
有「誰よ！」
『お届け物でぇ〜す！開けて良いですかぁ〜？』
有「誰よ！平野は！？」
『平野、ですかぁ〜？平野はぁ、兄弟思いですよぉ〜？』
有「意味分かんない！帰って！」
『無理ですぅ、私も用事があってぇ、今日じゃなきゃぁ。』
有「知らないわよ！」
『こちらとしてもぉ、そちらの都合とかぁ、関係なくてぇ。開けますよぉ？』
有「は！？」
勿論言うことを聞くつもりなどない。
足を高く上げて、にっこりと微笑んだ。
『逮捕の、お届けでぇ〜す！』
襖を蹴飛ばした。
何と有沙にクリーンヒットしたようで、皆が口を開けている。
当たるとか、最初から運良いな。
『あっごめん当てるつもりなかった。』
本当になかったし、真顔で告げておく。
皆の口は開いたまま。
いつもやってる口上するか。
『え〜…。かの有名な新撰組は、《悪即斬》を掲げていたそうな。そして、わしらは、《悪即逮捕》を掲げております。』
有「…は？」
『というわけで、逮捕しに参りました。』
左手人差し指。
キラリと光る緑の指輪を外して、唇に寄せる。
キスを落として、上へ放り投げた。
刀剣たちの視線もつられて上へ。
落ちてきた指輪を両手で挟んでキャッチ。
ぐるりと反対に回して…。
『時の政府直属ブラック本丸対策委員会撲滅課強制執行部。』
開けた。
『抹茶、参る。』
出てきた棒のような物を構える。
槍より長いそれは、わしの霊力。
縄にも刀にも銃にも変わる。
最高の武器。
『いざ逮捕。』
にっこり、いや、にっかりかな。
笑って、有沙に向かって走った。
有「お、お前ら、こいつ殺して！」
長「主命とあらば。」
『わ、へしべ。』
へしべの顔は不本意そう。
一応主だから。
そんな顔。
抜刀して襲いかかってくる。
が。
『遅い遅い！』
長「なっ！」
わしなめるなよ、最強なの霊力だけじゃないからな。
いつも訓練(という名のお遊び)してるからな！
軽々と避け、棒の先端で鳩尾ぶっ刺してやった。
壁に打ち付けられる。
『…で。次は？』
山姥「…俺らだ。」
山伏「行くか。」
堀「負けませんよ。」
『国広か〜！あはは！演練みたい。』
わしは、笑って構え直した。
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作者名：宇治抹茶 | 作成日時：2019年3月22日 0時
