拾参話 ページ16
資料の束を愛莉に手渡す。
パンはとうに食べ終えた。
『じゃ、行くわ。』
愛「もう？」
『うん。はよ片付けてくる。』
梅「なら、ゲートまで送るわ。」
わしが立ち上がりゲートに向かうと、3人も向かった。
ゲートは、このフロアの階段横。
いつも静かなフロアを、更に静かな朝歩く。
隣で愛莉が、「今回も無事に終わりますように。」と祈っていた。
いつも愛莉は祈ってくれる。
帰ってきたら、喜んでくれる。
ありがたいなぁ、と思いつつゲートに向かった。
広いフロアを歩くこと1分、大きなゲートにつく。
柊「本丸番号、入力します。」
『頼んだよ。…あ、今回も事後処理お願いします〜。ロコも連れて、きてくださいな。』
愛「分かってます。だから、無事に終えて。」
『あり？わし愛莉の彼氏？旦那？』
愛「…ふふ、余裕ですねぇ。」
『全人類の中で最強の抹茶様ですから。…ま、余裕ぶっこいてたら終わりだけどさぁ。』
梅「いつも通り頑張って。」
『了解です！部に汚名は着せません。』
梅「ん。信頼してるよ。」
柊「準備完了です。」
『お、本当？』
本丸番号を入力し終えた柊が、わしに向かって軽く笑った。
ツンツンしてる柊は、こういうときは笑ってくれる。
頑張って、って意味なんだろうけど。
梅「じゃあ、いつもの確認。」
『はい！』
梅「服は？」
『袴！』
梅「指輪は？」
『指に！』
梅「資料は？」
『読んだ！』
梅「作戦は？」
『バッチリ！』
梅「勝算は？」
『100％！』
梅「審神者は？」
『殺さない！』
梅「刀剣男士は？」
『折らない！』
梅「生きて？」
『帰る！』
梅「よし行け！」
『はい！』
これが《いつもの確認》。
これをしないと行かせてもらえない。
梅香さんの許可をもらって、愛莉と柊がゲートを開けた。
『行ってきます！』
梅「行ってら。」
愛「先輩行ってらっしゃい！」
柊「行ってらっしゃい。」
わしは、笑顔でゲートを潜った。
そして、直ぐ様ゲートを閉めしゃがむ。
………飛んでくるのが当たり前、みたいな短刀を避けるために。
『さて、始まりだね。』
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作者名：宇治抹茶 | 作成日時：2019年3月22日 0時
