拾弐話 ページ15
愛「…い。…輩。…ん輩。先輩！」
ドタドタドタドタ、と廊下から足音が聞こえた。
パン片手に資料の束をペラペラと見ていたわしは、ドアの方に目を向ける。
愛「抹茶先輩っ！」
『あ〜、愛莉。おはよう。元気だね。』
愛「今5時ですよ。朝の5時！何袴着て準備万端的な感じ醸し出してるんですか！」
『そうだよ、5時だよ、他の皆寝てるから静かにしようね。』
愛「せ、先輩らしくない！」
『あ〜いう本丸はさ、朝昼晩の区別が夜伽以外ないに等しいから。』
愛「普段本丸潰し昼間じゃないですかぁ！」
『あと小治子ちゃんに会いたいし。』
愛「それが本音ですよね！？」
愛莉がギャーギャーと騒ぐ。
寝間着のままなのからして、焦ってるんだろうな〜…と思った。
わしは4時に起きて、袴に着替え、コンビニでパンとかを買って今食べている。
準備万端だ。
ちなみに、袴は、黒みたいな緑の着物に漆黒。
そして、漆黒のピンヒール。
深紅の口紅を、いつもよりも真剣に塗って。
愛「ほんっっとうに小治子さん好きですね。あっ！梅香部長に言わなくちゃ。失礼します。まだ行かないでくださいね！」
『分かった分かった。忙しいなぁ愛莉は。』
今度はバタバタとオフィスを出る愛莉。
わしは、唇についたホイップクリームを手で拭った。
また、資料に目を戻す。
データベースから抜き取った、審神者の個人情報、刀剣男士の詳しい情報。
カンストやら何やら、わしに関係するのを頭に叩き込んだ。
『…レアが多いなぁ…。』
梅「抹茶！」
『ん？』
柊「先輩！」
『んお？』
再びドタドタ音が聞こえ。
それと同時に、梅香さんと柊の声も聞こえた。
柊「せん…。まっ、マジだ！」
『先輩の顔見て分かりやすく驚くな。』
柊「梅香部長と愛莉がギャーギャー言ってたから起きてみれば、何事ですか！」
『いや。本丸潰しに。』
梅「早朝から！？寝不足じゃない！？」
『そしたら小治子ちゃんに会う時間増えるし。寝不足は戦闘モードに入ったら気になりませんよ。つか、愛莉とか事後処理に呼ぶから、起きててもらって助かった。』
愛「ね！？おかしいでしょ！？」
『愛莉ちゃんそりゃ酷くね？』
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作者名：宇治抹茶 | 作成日時：2019年3月22日 0時
