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久部side







〔止まりちなふ〕


「…は?」


AからのLINEを見て呟く。


何だこれは。


「何々〜、誰から〜?」


「…飲みに行くんじゃないですか」


東海林さんが笑いながらスマホを見ようとするから咄嗟に隠した。


つい一日までは冤罪にビクビクしてた東海林さんだが、ついさっき俺のお陰とも言えることで助かった。


三澄さんと飲みに行く約束までしてるし。


俺が医学部じゃなかったらあの人死んでたぞ。


呑気だなあこの人、感謝してほしい。


「…意味不明」


「わ!?」


間抜けな声が出た。


隠したスマホを三澄さんが見ていたことに気づきもしなかったのだ。


ちゃっかり読んでるし。


「Aちゃんよね?…何暗号ゲームでも流行ってるの?」


「こっちが聞きたいんですけど」


「あーっ分かったあ!」


いつの間にか見ていた東海林さんが声をあげる。


俺も三澄さんもビクッと体を震わせた。


「《泊まりになる》よこれ!」


「あー、変換ミスと打ち間違え?よくやるよくやる」


「やるんですか」


「焦ってるときとか」


三澄さんも東海林さんもやるのか、Aも普通の女なんだ。
(男もやるし失礼だよ)


大体泊まりになるのは仕事が切羽詰まってるときだ。


焦っていると言われたらまず納得が行く。


〔分かった、頑張って〕


既読がつかないのはまあ当たり前、俺はスマホをしまった。


「で、どうなの。最近」


東海林さんが事情聴取モードに入った。


あっこれやばいと察した俺は、とにかく一言で終わらせる。


「Aが可愛くて死にそうです」


「私が解剖してあげるよ」


「本当にそうなりそうで怖いですから」


三澄さんの冗談は笑えない。


この人ならやりかねない、ああ恐ろしい。


東海林さんなんて「じゃー私もやるわ」と乗り気だし。


しまった、と思った瞬間。


マナーモードにしていたスマホが鳴った。


短かったし、LINEだ。


「なーにAちゃん?」


「あ、そうでした」


今回も打ち間違えかと少々身構えをしながらスマホを見た。


〔死にそうです〕


〔《ウインクして親指立ててるスタンプ》〕


三澄さんも東海林さんもスマホの画面を覗き込んでくる。


…スタンプなんて使うのか。


……というか。


「さっきこれ六郎言ってたね」


「何、彼女って彼氏に似るの?」


「何か…え…」


何とも言えない不思議な感覚に俺ら三人は画面を見たまま黙り込んだ。

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設定タグ:アンナチュラル , 久部六郎   
作品ジャンル:恋愛
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桜絵笑美(プロフ) - らりさん» ありがとうございます!最初はこんな設定で良いのか、見てくださる皆さんは久部くんのこと好きなのに良いのか不安でしたが、そんなの吹っ飛びました!20日が試験日ですので、終わったら大量更新しますね! (2018年11月18日 17時) (レス) id: 087612a236 (このIDを非表示/違反報告)
らり - 主人公の方が好き感低いタイプの小説初めてで、とっても面白いです。更新再開してもらってよかったです!忙しいとは思いますが、今後とも無理せず頑張ってください!楽しみにしてます。 (2018年11月18日 8時) (レス) id: 5a234b7cd0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜絵笑美 | 作成日時:2018年5月21日 1時

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