Crescends (ページ6)

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自己紹介ページ6

「えっと…縁、さん…。お昼ご飯、です…」

コンコンとノックされ遠慮がちに聞こえる声に、縁ははっと意識を戻した。
椅子にもたれ掛かる形で、いつの間にか眠っていたらしい。仕事は終わっているものの、針を持ったまま眠ってしまっていたので、余程疲れていたのか、と自分でも驚いた。しかも、眼鏡を掛けた
まま眠っていて、少し頭痛がした。

「今行きます」
と裁縫道具の中に針を戻し片付けて答えると、「分かりました！待ってます！」と妙に元気な声がした後、ドアの前から離れる足音が聞こえた。

縁は立ち上がって身体を伸ばした。
眠っていたのは十分くらいのはずだが、無理な姿勢で身体は若干強張っていた。

次いで、黒いリボンで高く結んでいた髪をサイドに流して、緩い三つ編みに結び直した。

鍵を開けドアを開くと、空腹を刺激する美味しそうな匂いに小さくお腹が鳴った。
慌てて辺りを見回し、誰もいないことを確認して安堵の息を零す。
この匂いは…カレーかな、と思いつつ廊下を歩く。

「すみません、遅くなりました」

ダイニングに来ると七人全員が一斉に私を見た。
縁は一瞬動くのをためらったが、すぐに空いている椅子を見つけ着席する。

すると、この中で一番愛らしい容姿の少年が声を掛けた。
「おっし！じゃー全員揃ったところで！いただきます！」
八人の「いただきます」が響き食事を始める。
縁もカレーを食べて「美味しい…！」と呟いた。

「おう！ありがとな！」

いきなり飛んできた声の方を見ると、先程いただきます、の挨拶をした少年が満面の笑みで私を見ている。
大きな瞳を縁に向けて笑う幼い顔立ちは、縁に自身よりも幼い少年であると認識させた。

彼は、先日のステージで最も元気いっぱいに動いていた少年と記憶している。

縁は驚きからか、やや引きつった微笑みを返す。

「兄さんの料理は美味しいでしょう？」

落ち着いた声がした方を向くと、柔らかい微笑みを向ける青年と目が合った。