Crescends (ページ5)

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誰かの話し声ページ5

「じゃあまた、午後に」
「あぁ」

一時間のランニングの後、寮に帰りシャワーを浴びて普段着に着替え、朝食を軽く作りニュースを見ながら食べる。これが縁の日常だった。
しかし、今日からあの七人がここに来る。少なくとも、今までの日常とは異なるだろう。

…どんな人達なんだろう。ステージの上での彼らは楽しそうで、きらきらと輝いていた。

…別に、彼らがどうであれ、そこまで過干渉するつもりもない。

あくまでもここの主は私であり、彼らは同居人。それ以上にも、以下にもならないだろう。
縁はそう思い、食器を片付け学校からの課題を済ませると同時に、玄関のチャイムが鳴った。

返事をしてドアを開けると、縁の姉―小鳥遊紡の後ろに荷物を持った先日の七人―
IDOLiSH7が居た。

「姉さん、おはよう」
「おはよう、縁。お邪魔します。」
「はい、どうぞ」

ドアを大きく開けて固定し、それぞれ個性のある全員分の「お邪魔します」を聞き終えて姉さんと彼らを招き入れる。

「奥の部屋二つは私の自室です。そこは入らないで下さい。」
「はーい」

「縁」と姉さんから声が掛かる。

「手伝ってくれないの…？」

伺うように問い掛ける紡を、縁は「仕事が残っているの」と一刀両断した。

彼らに必要事項をいくつか伝えた後、縁はベッドがある自室とは別の、もう一つの部屋に入った。今日は休日だが、彼女にとっては仕事の日だ。

いつもと違うのは、静かではないという事。食器を置く音、誰かの話し声、複数の足音。

一息ついて気持ちを切り替え、縁は仕事の最後の仕上げに取り掛かった。

賑やかな声を、遠くに捉えながら。