Crescends (ページ18)

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無意識の怒りページ18

「活動禁止令？」

「そーなんだよ。マネージャーがTRIGGERのライブまで歌もダンスも禁止だって。」

「そうなんですね…」
和泉三月の朝食の片付けを手伝いつつ、縁は「まぁそうだろうな、」と思考し曖昧な相槌を返した。

「今から一か月、学生組はまぁ学校だろうけど…陸以上の年の奴はどうするんだろうな…」

カチャン、と食器を置く音が静かに響いた。

その後縁は食後の語らいから席を外し、作業を進めていた。
実は縁には休日といって休日が無い。したくてしている、『趣味』なのだから仕方がないが、最近はあまり深く眠れていない。今日も部屋に籠り『作業』をしていると、六弥さんのハイテンションな声が脳に響いた。次いで、和泉三月の怒った様な声も、縁の脳を揺らす。

元々ここは誰も居ない静かな場所だったのに…。あんなアイドルと名乗る程にも及ばない人達に占拠されて…！

「いったぁっ⁉」
イライラが募る縁は針で自分の指を刺してしまった。

傷から溢れた小さく丸く赤い血を見つめ、ため息を零してそれを舐める。むすっとしたまま空いている片手でスマホのチャットを開く。

《レイ、今どこ？》
《家》
《いい？》
《いいよ》
《じゃあ、今から集合ね。》
《分かった》

零斗の返信に既読を付け、携帯を荷物へ押し込む。

その他ノート類諸々の荷物を押し込み、動きやすい服に着替え、髪を高くポニーテールに結ぶと部屋のドアを開け廊下に出る。

縁はダイニングでお茶を飲んでいた陸と壮五に「少し外出します」とだけ告げると外に出た。