Crescends (ページ14)

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昼に観るもんじゃない(大和主観) ページ14

「この二人の歌とダンスが最高でさ！オレお気に入り登録してるんだ！」

笑顔で告げたミツは俺とリクに分かりやすいように、サムネイルを指しながら説明の言葉を続けた。

「この二人組グループは《Datura》(ダチュラ)って言う名前で、女の方が《Dark》(ダーク)、男の方が《Rait》(ライト)って言うんだけど、声もダンスの振りも超カッコいいんだ！」

女の方は深いワインレッドに黒のフリル施されていて、大きな胸を強調するかのような胸元が開いたドレスを身に纏い、顔の左半分を花で模った黒い仮面で隠していた。仮面で顔を隠していても、アイラインの濃さと口元の黒子が目を惹き、品を保ちつつ艶やかな印象。細く白い腕を晒しながら両手にはレースの黒い手袋。スリットから見える長い脚も、胸元に覗く黒子も…はっきり言うと…うん、察してくれ。

男の方は全体的に色素が薄い感じだ。真っ白な、所謂王子様が着ているような服に黒いブーツ、恐らく革製の白い手袋。女の方と色違いの、白い仮面を顔の右半分に着けているが、涙黒子は印象に残り、その表情は寂寥感に憂いている様で、此方も引き付けられた。

ミツは「とにかく見てくれよ！」と言いながら動画の再生ボタンを押した。

その動画は、一言で表すなら「妖艶」という言葉が相応しかった。

静かなイントロから入り、サビは激しくも妖しく美しい。伸びやかな女の声と、それに合わせる男の声。また別の所では、力強い男の声に女の声が優しく重なり合う。

ダンスも、男女の情を表すようなストーリー的振り付けが組み込まれていた。どちらかと言うと、ダンスよりも演技、「表現」との言葉で表した方が近いかもしれない。

同じ振り付けを踊る際も、二人は美しく揃っており、見ていて気持ちがいい。

同じデザイン、一組のイヤリングを女の方は右耳に、男の方は左耳に着けており、それがより一層「二人で一つ」というイメージを強めた。

二人の表情や動きからも、俺はどんどん引き込まれていて、五分程度の動画がいつの間にか終わっていた、というような感じだった。

リクが「すっごくかっこいいですね！なんかこう…セクシーな感じで！」と感想を述べると、ミツが嬉しそうにそれに応えていた。

ミツ曰く、曲は既存のものだが二人が歌うとまた違った印象になるという。

最後に、曲の紹介等を流し見ていると不意に見覚えのある言葉が出てきて、俺は慌てて動画を止めた。