Crescends (ページ11)

今日:1 hit、昨日:10 hit、合計:3,492 hit

新たな同行者と保護者的視点(大和主観) ページ11

「何話してんだお前らー」

リビングでこそこそと話す俺らに興味を持ったのか、ミツがエプロンを外して此方に近付いてきた。

「大和さんが小鳥遊さんについて行ってみたいって！」

「…マジかおっさん…」

「リク。語弊のある言い方止めなさいー。」

完全に引いている目を向けるミツの誤解を解いていると「でも、大和さんも小鳥遊さんのお仕事、気になるって…」とリクがしょんぼりと呟いた。

先程リビングから、仕事に行くユカの姿が見えたが、四泊五日の旅行に行くレベルの荷物を抱えていた。

「あー確かに。あの年で自分の食い扶持稼げるとか早いよな。この寮に一人で住んでた頃も管理費全部払ってたんだってよ」
「へぇ、そりゃ凄い」

素直に感心していると「だから！」とリクが声を上げた。
その瞳は好奇心に彩られきらきらと輝き、これから何を言おうとしているのか一瞬で分かってしまった。

「ミツ、リク、やっぱまずくねぇ…？」
「大和さんだって気になってんだろ？小鳥遊さんがどんなお仕事してるのか」

現在、俺、二階堂大和は、マネージャーの妹の小鳥遊縁を物陰からスト…尾行するリク＆ミツの保護者として付き合っていた。

「それに聞いて下さい大和さん！縁さん、お仕事何してるんですか？って聞いても全然答えてくれないんですよ！」
「なんでそんなストレートに聞いたんだ…」

ピュア過ぎるリクに思わず突っ込んでしまったが、ユカの隠す理由が分からない。

はっきり言って他人に過干渉しないのが俺のモットーだが、マネージャーにああ言ってしまった手前、簡単に引くわけにもいかなくなってしまった。もっとも、俺としては、ユカは何か危ない仕事をしているのでは？との心配も拭えない。

「おっ、店に入ったぞ…クリーニング屋？」

ミツがそう言って、俺とリクも顔を向けた。会話は聞き取れないが、店員の若い男性と親しげに話している。

遠くから見ているので詳しいことは分からないが、ボストンバッグから荷物を取り出し、預けている。クリーニング屋から見て服に違いないだろう。
そして店員からなにかを受け取っている。此方も前者の理由により、服に違いない。
普通よりも量が多い気もするが、溜めておいたらあれくらいにはなるだろう。

大きさがさほど変わっていないバッグを持ってユカは店を出た。

そして、俺達はそのまま角を曲がるユカの後を追った。