【銀魂】ふわふわな君を。part2・。*

５８話　桜色のお前 ページ12

銀時side


「無事？解決だな」

『うん。ここまで来るのにお金使ったし、報酬はいっか』

「流石にな」


新八と神楽はアリアの元に居て、何故かAと二人きり。
どういう訳か、コイツは少し機嫌よく見えた。
ふわり、ふわりと桜の花びらが舞う。


『ねえ、銀時。私も依頼していい？』

「なんだよ―」


名前を呼ばれ、少しドキリとした。
なんの依頼だとAの方を見ると、ガッと胸倉をつかまれた。
殴られるのかと思ったが、それは相当な勘違いで。
触れるだけのキスをされた。


「いっ…いきなり、何を…！」

『―銀時のこと好きだから、私にちょうだいよ』

「っ……！」


付き合っているわけでもないのに、何故なのか。
唇が離れて目が合うと、ドッドッと鼓動が速まった。
Aは俺と目を合わせたまま、頬を桜色に染めてそう言った。


「お前…俺を嵌めようとしてんのか」

『なっ…！！
アンタねぇ、こんな恥ずかしいこと冗談で言えるわけないじゃない！馬鹿！』


申し訳ないが、まずは疑った。
新八と神楽が居ないことから、ドッキリなんじゃないかって。
だが、より顔を紅くして馬鹿と言うAを見て、嘘ではないと確信した。


「嘘じゃ、ねぇんだな…」

『嘘であってほしかったの？』

「そんな訳ねぇだろ。……好きだ、俺も」


茫然と呟くと、ぎゅうと頬を抓られた。
くすっと笑ったAを強く抱き寄せると、何度も好きだと言った。
こんなにも愛しく思うなんて。


「好きだ、好きだ…」

『ん、私も好き』

「ったく、すげぇ依頼ぶっこんできたな。報酬は？」


言葉のストッパーが決壊してしまったようだった。
だが、今くらいは許されるだろう。
ぎゅうと抱き返してきたAの額にキスをおとすと、ふっと笑って問うた。


『……私を好きにできる、とか？』

「ほお、そりゃいいな」

『外とか人の前で盛ったらぶっ飛ばすからね』

「そんぐらい分かってらァ」


Aは一度顔を背けると、耳まで朱に染めて答えた。
その意外な言葉に一瞬ドキッとした。
揺るがないそのツンにすこし安心した。


『はぁ…やっと言えた』

「なんて？」

『別に、なにも』


胸板に頭をこつんとされ、甘えられているようだった。
ボソっと呟かれたその言葉を、聞き逃しはしなかった。


『神楽達のところ戻ろ』

「おう」

『……ばか』


ぱっと離れたかと思いきや、もう戻ろうと言うA。
手を繋いでから不意打ちでキスしてやると、また桜色に染まってた。

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