拾ノ怪 人魚の鱗 ページ12
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「はい」と花子さんが取り出した物は……
「…何これ」
「こけし」
「…何故?」
「ちょっと…エ◯い」
何処が◯ロいんだよォ…と思っていると、こけしを奪い取った寧々がそのまま「ふんっ!」と窓の外へと放り投げた。
きらーんと星になったこけし。
いや、こけしがエ◯いと思ってるのって花子さんぐらいじゃね…?
私には分かりません。ウン、全く。
「ねえA。これ、花子さんが落としたのかな…?」
「?何それ」
寧々が持っていたのは、封と書かれた小さな巾着袋。
その中には硝子の様な丸い綺麗な物が二枚入っている。
「花子さん、これなーに?」
「それは縁結びの…」
「縁結び?」
縁結びと聞いた寧々は目を輝かせた。
だが、それとは反対に花子さんはハッと慌てながらこちらに駆け寄る。
「ヤシロそれはダメ!返して!」
「あ…ッ」
「え…ちょ寧々!?」
「あーーー!!」
縁結びと知った寧々が素直にそれを返す筈が無く、そのまま口に含んでしまった。
予想していなかった行動に流石の私も、花子さんと同じく驚きの声を上げる。
あんたのその後先考えない所、嫌いじゃないけどさ…食べるなよ、流石に。いや含んでるだけだけど。
「んふふーふん!(説明して!)」
「わ、わかったわかった!」
「ね、寧々…」
花子さんは慌てながら説明をしてくれた。
寧々が口に含んだのは人魚の鱗。
同じ人魚から取れた鱗を飲んだ者同士は、恐ろしい呪いを受ける代わりに非常に強力な縁で結ばれるらしい。
だが、まだ話の途中なのに、それを聞いた寧々が出す訳もなく、そのままごっくん!と飲み込んでしまった。
私と花子さんは同時に叫んだ。
「ヤシローーー!!」
「寧々ーーー!!馬鹿!早く出せ!飲むなって、呪われるって…」
「いい」
「「え?」」
ぎゅっと強く手を握って、寧々は話し続ける。
その表情は何処か悲しそうにも見えた。
「源先輩と両想いになれるなら…呪われてもいいっ!何よ、道具持ってるんじゃない!
花子さんの…嘘つき!!」
「!」
「…っ」
「寧々!」
そう言って寧々は女子トイレから飛び出した。
残った人魚の鱗を持って。
恐らくそれを源会長に飲ませるつもりなのだろう。
女子トイレに残った私と花子さん。
…いや何これ気不味っ!!
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なな(プロフ) - こういう話大好き!!続き楽しみにしてます! (10月24日 15時) (レス) @page30 id: fe31627149 (このIDを非表示/違反報告)
chisa - キメツ学園と地縛少年花子くんのコラボ、面白かったです。更新楽しみにしてます!これからも頑張ってください応援してます! (2022年10月10日 15時) (レス) @page31 id: c8930b3d1a (このIDを非表示/違反報告)
ふわにゃん - とっても面白いです!続き楽しみにしていますね! (2020年7月28日 19時) (レス) id: 0abe5ea8a5 (このIDを非表示/違反報告)
水無月梅雨 - 犬夜叉要素があって、ものすごく笑いました!これからも頑張ってください!!! (2020年7月5日 12時) (レス) id: 82fc76c663 (このIDを非表示/違反報告)
雨ノ宮紗綾 - 犬夜叉の要素があったりしてめちゃくちゃ面白かったです!更新楽しみにしてます!!! (2020年7月2日 21時) (レス) id: 83427b663d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年3月27日 14時