拾弍ノ怪 呼ぶ声 ページ14
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残り一つの人魚の鱗を持って、私は走り出した。
目的は一つ、源先輩を探す為。
Aには悪い事しちゃった…。後で謝らないと。
でも!道具がないって言ってたのに、こんな縁結びの人魚の鱗を黙ってた花子さんが悪いのよ!
私はただ!…ただ、源先輩とすぐに両想いになりたいだけなの。
そうして校内を走って走って…ようやく源先輩を見つけたのだが、他の女子生徒と居て思わずサッと隠れる。
……ちょっと待って。
あれってまさか…まさかよね…。
赤く染まった顔、そして何よりも細い綺麗な脚。
「あの…あの、源くん…私…。一年の頃からずっと好きでしたっ!!」
「(キャーーッ!!やっぱりーー!!)」
やはり告白の現場だった。
この人魚の鱗を先輩に飲ませるだけなのに、あと一歩なのに。
だけど、割って入る事は出来ない。
私はただ必死に先輩が断る事を祈った。
そして
「ごめん」
そう応えた先輩の一言にホッとしたのも束の間で。
「僕、好きな子がいるんだ」
ただその一言で、私の心臓がドクンと大きく跳ねた。
先輩…好きな人、いたんだ…。
でもこれがあれば、そんな事関係ないし…。
『誰でもいーんだ?』
特技を聞かれ、園芸部の畑で花子さんに言われた言葉が頭の中に響き渡った。
そんな事ないってあの時は思った。
けれど、今はそんな事言えない。強く否定出来ない。
だって…それは……
そんな時、パキピキと何かヒビが入った様な音がすぐ側でした。
閉じていた目を開くと、私は自分の腕を凝視した。
「え……何、これ……ぃや…いや…っ!」
何故か私の腕に、全体に鱗の様なものが広がっていた。
それは腕だけではなく、私の全身を襲い、そこで何だか呼吸がし辛くなる。
だんだん意識が霞む。
_______どうして?
何で?何でこんな事になっちゃったの?
あんなに頑張ったのに…
違う
ほとんど話した事もない、名前も覚えて貰おうともしなかった
『今まで頑張ったんだから』
頑張ったって、何を?
見当違いの努力して、報われるって思い込んで
私…
自業自得だ、全部…
「見つけた!寧々!!」
……A…?
探しに…来てくれたの…?
ゴポ…と言う音と共に、親友の声が聞こえた。
私を呼ぶ声が。
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なな(プロフ) - こういう話大好き!!続き楽しみにしてます! (10月24日 15時) (レス) @page30 id: fe31627149 (このIDを非表示/違反報告)
chisa - キメツ学園と地縛少年花子くんのコラボ、面白かったです。更新楽しみにしてます!これからも頑張ってください応援してます! (2022年10月10日 15時) (レス) @page31 id: c8930b3d1a (このIDを非表示/違反報告)
ふわにゃん - とっても面白いです!続き楽しみにしていますね! (2020年7月28日 19時) (レス) id: 0abe5ea8a5 (このIDを非表示/違反報告)
水無月梅雨 - 犬夜叉要素があって、ものすごく笑いました!これからも頑張ってください!!! (2020年7月5日 12時) (レス) id: 82fc76c663 (このIDを非表示/違反報告)
雨ノ宮紗綾 - 犬夜叉の要素があったりしてめちゃくちゃ面白かったです!更新楽しみにしてます!!! (2020年7月2日 21時) (レス) id: 83427b663d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年3月27日 14時