夢と夜中の来訪者 ページ3
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鏡の先に繋がる夢を見た
何人ものトランプ兵が、白い薔薇を赤いペンキでただただ塗り替える夢だ
_____急いで薔薇を赤く塗るんだ
_____急がなきゃ花が萎んじまうぞ
_____急げ急げ、薔薇を塗り残してるぞ!
白い薔薇を、ペンキで…塗る?
それこそ台無しじゃないか
_____何故白い薔薇を赤く塗るの?
可憐な少女がそう問い掛けた
_____え?
___どうしてかって…実はな
___間違って白い薔薇を植えてしまったんだよ
___女王様は赤がお好きだ、白なんて首になるよ!
_____そうなの?
___そうとも、だから俺達は薔薇を塗るのさ
そうして、
ただただトランプ兵達は白い薔薇を赤く塗り続けた
ああ…せっかく綺麗な白い薔薇が勿体ない
ペンキなんかで塗らなくてもいいじゃないか
私なら最高のマジックに変える事が出来るのに
それに
薔薇は何色でも美しいのに
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微睡の中に居た私は、ふとドンドンッと扉を叩く音が聞こえ、ゆっくりと重い目蓋をこじ開けた。
今はまだ夜中だと言うのに、こんな時間に一体誰だ?
ちらりと横を見ると、ユウ君はまだ夢の中。
だけどグリムは耳がいいのか、眠そうにしながら目を開けて私に話し掛ける。
「むにゃ…オイ、A。
こんな夜中に誰か来たみたいだゾ…。ユウは…寝てるし…」
『うん…。あ、まただ』
「何だあ?お化けのヤツらか?諦めが悪ーんだゾ」
『いや、多分違うと思う…。ちょっと行って来るね』
「…目が覚めた。オレ様も付いて行くんだゾ」
『お、それは心強いな』
だろ?とニヤッと笑うグリムを肩に乗せ、階段を降りてオンボロ寮の玄関にやって来た。
そこでまた扉がドンドンッと叩かれる。
こんな夜中に誰だよ、ほんと。
…あーもう、ハイハイ出ますってば!
念の為に髪を素早く編み込みし、再度扉を叩く非常識な誰かに少しイライラにながら、その誰かに扉越しに声を掛け扉を開けた。
『はいはーい、どちら様でしょーか〜?』
「…オレ。エース。ちょっと中に入れてよ」
「エース?こんな時間にどーした……って、げげっ!
その首輪は!!」
『おぉ…随分洒落た首輪してんじゃん』
そこに居たのは、あからさまにムスッと不機嫌な顔をしたエース。
そして何処かで見た事のある洒落たハートの首輪をしていた。
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抹茶って美味しいよね(プロフ) - とても面白かったです!最新頑張ってください!!楽しみにしてます! (2020年6月24日 22時) (レス) id: 8bfe17f4aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年6月2日 2時