鍵穴の無い箱 ページ2
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無事に学校から帰って来た私は、そう云えば…とふと思い出した祖父の遺品整理を行なっていた。
森さんは若しかしたらお爺ちゃんの遺品を狙う人が居るかも、と云ってたけど。
……うぅ、なんか考えただけで寒気がして来たよ。
にしても、お爺ちゃん。
「部屋汚ッ!!」
本は山積み、資料や紙類は床に散乱して足の踏み場等無く、箪笥や本棚には埃が積もっており、何処かに行く度に買って来た置物とか飾り物とか放置して…此れを汚い以外に何と云うのか。
遂此の前に片付けたばかりなのに…。
たった数日で此処迄なんて…何処迄片付けるの嫌いなの!?全くもう…。
「…そんな小言でさえ、もう云えないンだけどね」
怒って説教しても返事も何も返って来ない。
判ってる。祖父は死んだ。私の目の前で息を引き取った。
もう誰も居ない。一人で居る事に慣れなければ。
じわりと滲んだ目元を拭い、よし!と意気込み、遺品整理を再開した。
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「…よし、こんなものかな?大分綺麗になったとは思うンだけど」
本を一度部屋から出し、資料や紙類を纏め、埃を上から下へ落とし、置物等は物置き場に仕舞いを繰り返し、なんとかマシにはなったかと思う。
凄く頑張ったよ私!あの汚かった部屋を此処迄綺麗にして片付けたンだから!
誰か褒めて欲しいよ!うん!
今日は此処迄にしようと思い、部屋を出ようとした時、カチャンと何かが鳴る音がした。
振り返ると、先程迄無かった銀色の小箱がぽつんと置いてあったのだ。
……え?
…え?え?い、いいい何時置かれたの!?え!?さっきは無かったよね!?怖い!凄く怖いよお爺ちゃん!
お爺ちゃん、又何か仕掛けてたの!?
それとも…真逆、此処にも幽霊さんが居るとかないよね…?
「…こっわ!怖いよ!!」
突然の超常現象(?)に驚き乍、ほんの少し芽生えた好奇心により、其の箱を見る事にした。
見た目は木なのか金属製なのか、何で出来ているか不明だが、それを除けば只の綺麗な銀色の小箱。
実にシンプルで、金の縁取りがされている以外の装飾等はされていない。
な、何なの此の箱はァああ…ッ!?
綺麗だけど何か簡単に開けていいものではなさそうな気が…私の直感がそう告げています。
一寸覚悟を持って開けろと告げています。
と云うか…よく見ると此れ……
「鍵穴…ないンですが」
え、お爺ちゃん。
如何やって開けるの此の箱。
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?*。?神??*。(プロフ) - 鏡花ちゃん惚れるて…( (4月20日 21時) (レス) @page31 id: 21074ec137 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - 神作ですね!これからも更新をお待ちしてます。 (11月8日 13時) (レス) @page31 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 鏡花ちゃん…好き… (10月29日 1時) (レス) @page30 id: be2fe8a188 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - 本当に神がかってました、、!投稿大変だと思いますが頑張ってください!🫣💭 (2022年11月27日 18時) (レス) @page29 id: cd0eeb5975 (このIDを非表示/違反報告)
三斗(トリップ願望者) - 更新をお願い致します!(土下座)楽しみにしてます! (2022年7月8日 23時) (レス) @page28 id: 9ad11557a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヒア | 作成日時:2019年7月20日 2時