武装探偵社 ページ29
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「どっどどどどうぞお納め下さいませぇえ…」
「ン"ぶふッ…お、落ち着いてAちゃン"ぐふふ…ッ」
「…頂こう」
そう云い乍も笑いを堪え切れて居ないですよ太宰さん。
そんな彼の横で私が出した緑茶を飲む福沢さん。様になってる。すんごく絵になってる。
現在、太宰さんと福沢さんは私の家に来ている。
何故こうなっているのかは、数十分前迄に遡る。
吃驚し過ぎて固まった私。
太宰さんに抱き締められている時、その後ろから訊こえた懐かしいその声に涙腺が緩みかける。
スッと離れた太宰さんに解放された私は、色々出ちゃいそうな口元を押さえ、ゆっくりゆ〜っくりと振り返った。
銀の髪、少し怖そうに見えるやや吊り目、緑の着物を見に纏った___福沢さんと目が合う。
私と目が合い、数秒後、何時も無表情だった彼の口元がふわりと緩み、判り難かったが其れでも小さく微笑んでいる事が判った。
「…久しぶりだな、A」
「ふく、ざわ、さ…」
気付けば私の目の前迄来ていた。
そして其の儘背に腕を回され、優しく抱き締めて呉れた。
福沢さんの胸元に顔が当たり、其れと同時に香ってきた落ち着きある優しい香り。
…嗚呼、本当に福沢さんなんだ。
本当に…ヨコハマからここまで来て呉れたんだ!
消えた筈のお爺ちゃんを亡くした時の喪失感、絶望感、そして悲しさが一気に思い出してしまい、其の儘綺麗な着物にしがみ付いた。
「福沢さん…ッ、おじい、ちゃんが…亡く、なって…わた…私一人で……ご、ごめ…なさ…ッ」
「何故お前が謝る」
「だ、だって…福沢さんが、逢いたかったのは…お爺ちゃん、でしょう…ッ?なのに…お爺ちゃんは…居な、いし…」
「…莫迦者」
先程より力を込めて抱き締められる。
「私はお前に逢いに来たのだ。一人になり、寂しい思いはしてないかと」
「…ッふくざ、わ…さ」
「長い間、会いに行けず済まなかった。…大きくなったな、A」
溢れた涙を私は抑えられず、ポロポロと泣いてしまった。
福沢さんの着物を濡らしてしまうと思い、離れ様としたが福沢さんが許さないと云う様に更にぎゅっと力を込めた。
そして、そんな私と福沢さん、太宰さんは其の儘私の家に来たのだ。
小学生の子ども達は、色々気を遣って呉れ、何も云わずに見送って呉れた。申し訳無さ過ぎる。
「A…昔の様に福沢叔父ちゃんとは呼んで呉れないのか?」
「「ぶほぉッ」」
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9Sに殺されたいロリコン - あ…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………キモくてすんません (2019年8月31日 20時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
9Sに殺されたいロリコン - すみません……この子が可愛すぎて悶てるわぁっ!!あぁっ!!喰いたい。(真顔)安室さんの女スカ? (2019年8月31日 20時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
サヒア(プロフ) - リリンゴさん» 本当ですか!?有難うございます!続編を作ってる最中なので、是非出来たら其方も読んで頂けると嬉しいです! (2019年7月16日 23時) (レス) id: f3e12664ea (このIDを非表示/違反報告)
リリンゴ - おもしろいです!最高ですね! (2019年7月13日 18時) (レス) id: 547ee901cf (このIDを非表示/違反報告)
サヒア(プロフ) - 綾乃さん» 綾乃さん!いいお名前…!有難うございます!頑張らさせて頂きます! (2019年7月7日 20時) (レス) id: f3e12664ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヒア | 作成日時:2019年4月16日 1時