極道上等【Ⅰ】 (ページ29)

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【24話・主人公side】ページ29

ボーッとしていると、裕太がバタバタと走ってきた。

裕太の後ろには、篤志と敬浩を両脇に従えて歩

くお父さん。

私もお父さんの近くまで歩くと、敬浩に遮られ

てしまった。

敬「(人1)ー、遅くなってごめんねぇ「寒い」

あれ、無視？ねぇ、「挨拶したら直ぐに帰ろ

う」ヒロさんも!?」

横でワーワー騒いでいる敬浩を無視して、篤志

を見ると、優しく微笑んでくれた。

敬「ちょっと、お兄ちゃん傷付いちゃう「ちょ

っと黙ろうか？」はい」

煩い(うるさい)敬浩を黙らせて、篤志

が着ていたジャケットを羽織らせると、剛

典の所に行った。

広「怪我は？」

ふるふると首を横に振る。

広「なら良かった。直ぐに終わらせるからな」

私の頭を撫でて組長達に挨拶回りに行く。

私は、腰を支えている剛典が濡れぬよう少し距

離を保つ。

剛「っ、」

何処か不安気に瞳を揺らしたけど、それは気に

せず。

＿...寒い..

少しずつ日本酒を吸っていく着物に熱を奪わ

れ、段々と重くなる着物に体がフラフラしてき

た。

何とか足を踏ん張るも、その場に蹲っ

て(うずくまって)しまう。

敬「...無理しないで」

スッと私を横抱きにして立ち上がる。

(人1)「...ごめん...」

器用に片手だけで私を抱えて頭を撫でてくれ

る。

小さい時、私が眠くなった時に必ず頭を撫でて

くれていたお母さん。

私は、お母さんの温もりを思い出しながらゆっ

くりと瞼を下ろした。

.

目が覚めれば、見慣れた天井。

＿...帰ってきたんだ。

上半身を起こして自分の部屋を見回す。

涼「(人1)さん...？」

襖の向こうから聞こえてきた涼太の声で我に戻

った。

(人1)「入って」

涼「し、失礼します！」

私の部屋に足を踏み入れると、丁寧に頭を下げ

る。

挙動不審な涼太を座布団に座らせる。

涼「体調の方は？」

上目使いで聞いてきた涼太にホッコリと癒され

る。

(人1)「大丈夫だよ？ちょっと日本酒浴びただ

けだし...」

皆はいちいち過保護すぎる。心配してくれるの

は嬉しいけど、自分の事も考えて欲しい。

涼「なら良かったです！啓司さんが晩御飯の用

意してますけど、食べれますか？」

(人1)「ん。食べる。お腹空いちゃった」

涼太に支えられて広間に向かうと、皆揃ってい

た。