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家のチャイムがなった。
「さとー、出てー。」
母さんに言われて出ると、
ショウのお母さんとその少し後ろにジュンがいた。
「お母さん、いま、いる？」
「あ、母さーん！ショウのお母さん。」
「はーい。今行きます。」
すぐに母さんは来た。
すると、ショウのお母さんが日本語で、こう言った。
「ショウの、トカビが、出てる、みたいです。」
朝鮮で子供の幽霊をトカビと言うらしい。
「トカビを、お、追い払うのに、これ、を、つけてください。
火と、間違えて、来なくなります。」
そして、目に涙をためて、紙袋を渡した。
ジュンはずっとこちらを睨んでいた。
ずっと睨んでいた。
紙袋の中は唐辛子がひもで繋げてあるものだった。
帰ってきた父さんに母さんは、説明した。
そして、ショウのお母さんがかわいそうだから、自分の子を追い払ってください。なんて。どんなに辛いことか。やめまょう。と涙声で言った。
「せっかく、作って、持ってきたんだ。つけてあげることが報いだろ。」
父さんは静かに言って、家のほとんどの窓に画鋲で固定した。
ショウの家以外に、赤い唐辛子がついた。
真ん中のスペースから見渡すと本当に燃えているみたいで。トカビじゃなくて、ショウじゃなくても、少し怖かった。
ショウの家族はどんな思いだろうか。
こんなにも歓迎されてないとは。
でも、誰もショウを見なくなった。
足音も影もなにも、ぴたっと止んだ。
また、日常が普通に動き出す。
ショウがいないことも、家に灯ったままの火も忘れながら。
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桃 - はじめまして。トカビ読ませて頂きました。泣きました。私はトカビの夜という小説は読んだことないんですが、純粋にあかっちさんの文章を読んで泣きました。これからもあかっちさんを応援してます (2017年4月2日 18時) (
レス) id: d9a5d5c013 (このIDを非表示/違反報告)
蕣(プロフ) - 初めましてあかっちさん。とても面白く人は外見や噂だけで区別してはいけないな、と思いました。意見なのですが最後、大野さんの息子雅紀くんの話になる前に終わった方が良かったのではと思いました読んでいて私が思った事なのでお気になさらずいい話しをありがとう。 (2017年3月21日 14時) (レス) id: 2fc5b7d80d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あかっち | 作成日時：2017年3月13日 11時
