5,目覚め�� ページ6
『あの…それで、貴方は？』
「俺か？俺は先も言った通りサーヴァントだ。クラスはランサー。真名はクー・フーリン。」
『クー・フーリン…』
少し不思議そうな表情を見る限り、俺のことは知らないのだろう。
そこまで考えて、そういえば彼女はただの一般人であったことを思い出した。
「あー…どこから説明すっかな…」
ランサーは面倒くさそうに頭をガシガシと掻くと、おもむろに口を開いた。
「サーヴァントってのは、簡単に言えば使い魔として呼ばれた過去の英雄だ。
お前の手に赤い刻印があるだろう。それは令呪といって、三回だけ使えるサーヴァントへの絶対命令権であり、お前がマスターであることの証明でもある。」
『私が、貴方のマスター、ってこと？』
「そういうことさね。全く、魔力については申し分ないが、無知なマスターを引くとはねぇ…」
ブツブツといっているランサーをよそに、Aは右手の甲にある赤い刻印をぼうっと眺める。
花のように見える形のそれをずっと見つめていたら、共鳴するかのように少し赤く光った気がした。
『私達のほかにも、マスターやサーヴァントがいるの？』
「あぁ。
これから行われるのは聖杯戦争。
聖杯＿＿万物の願いをかなえる願望気を巡って、七人のマスターとそれぞれと契約した七騎のサーヴァントが覇権を争う。
不本意といえど、お前はその戦いに巻き込まれたってわけだ。」
残念だが今お前の命は危ぶまれている。
そう告げた彼を、私はどこか考えのまとまらない頭でぼうっと眺めた。
『…私は、戦わなくちゃ、いけない。』
「？……何か、聖杯にかけるような望みでもあるのか？」
『…ううん、ない、けれど。
どうしてか、やらなきゃいけないことがある気がするの。…なんでだろうね。』
曖昧に笑って見せると、彼はそんな私の心を見透かさんとばかりに鋭い目でこちらを見やる。
「お前に人を殺す覚悟があるのか。」
核心を突いたその言葉に、私は少し間をおいて、首を振った。
『…無い。
でも、例え巻き込まれたのだとしても、逃げることだけは、したくない。』
この手で人を殺さなければならないのだろうか。
そう考えると背筋がゾクリと震える。
けれどもそれ以上に、ここで立ち上がろうともせずに尻尾を巻いて逃げ出すのは嫌だ。
そんな、紛れもない本心だった。
続く
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桜華詩歌(プロフ) - あいねさん» コメントありがとうございます！！前作から読んで頂いていて嬉しい限りです……！これからも頑張って更新しますので応援よろしくお願いします！ (2020年6月10日 20時) (
レス) id: b16f658eef (このIDを非表示/違反報告)
桜華詩歌(プロフ) - 陷さん» コメントありがとうございます！頑張って更新していきたい所存です！長期になってしまうかもしれませんが、応援してくれれば嬉しいです (2020年6月10日 20時) (レス) id: b16f658eef (このIDを非表示/違反報告)
あいね(プロフ) - 前のやつから続き待ってました、、、、待ってます。。 (2020年6月10日 19時) (レス) id: ab5cfb78f3 (このIDを非表示/違反報告)
陷(プロフ) - 続き………楽しみ……に…………待ってます……頑張ってください………好きです…(尊死) (2020年6月5日 0時) (レス) id: 5a66a96c08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜華詩歌 | 作成日時：2020年5月28日 0時
