3，目覚め ページ4
「…って、あ〜あ、ガキか。
また貧乏くじ引いたかねぇ。」
頭をガシガシと掻きながらジト目で見られる。
この人は一体何者なのだろうか。いや、そもそも人なのだろうか。
『あ、あの、どなたですか…？』
「どなた、ねぇ。
嬢ちゃん、その感じだとまっとうな魔術師じゃなさそうだな。
ま、俺を喚べたってことは適性があるってことなんだろうが…」
サーヴァントやら魔術師やらなじみのない言葉で頭がちんぷんかんぷんである。
首をかしげていると、彼は私が持っている本に目を向けた。
呆然としている私に近づくと彼はするりと私の腕から本を引き抜いた。
「
『その本が、読めるの？』
「あぁ、俺の故郷＿＿アイルランドの言葉だ。」
懐かしそうに瞳を細めた彼は私に本を突き出す。
受け取ろうと手を伸ばすと、勢いよく伸ばした為か指同士が接触してしまった。
ビリッと静電気のような物を指が感じたその瞬間、発作でも起きたかのように、心臓が大きく鼓動した。
支えられるものがいなくなった本がバサリと音を立てて落ちる。
心臓をたたかれたような衝撃に思わず胸を抑えると、異変を感じ取った彼は視線を合わせるためにしゃがみこんだ。
「なんだ？どうし＿＿＿」
体が燃えるように熱い。痛い。息が、苦しい。
何かが全身を、ものすごい速度で巡っていくような、そんな感覚。
服から露出した腕に線状の青い光が走るのを、ランサーは見逃さなかった。
「魔術回路が暴走…？
さっきまで嬢ちゃんから魔力は感じられんかったってのにか…？」
イレギュラーな召喚。何も知らない幼きマスター。可笑しなことが多すぎる。
しかし、未だ胸を押さえ苦しんでいる少女をどうにかせねば。
「…悩んでいる暇はねえか。」
何かつぶやいた彼は私を抱き寄せるように体を持ち上げる。
と、何か柔らかいもので口をふさがれた。
驚きで抵抗もできず、無慈悲にも舌が入り込んでくる。
彼の唾液が喉を流れた感覚がした後、意識はブラックアウトした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 54人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜華詩歌(プロフ) - あいねさん» コメントありがとうございます！！前作から読んで頂いていて嬉しい限りです……！これからも頑張って更新しますので応援よろしくお願いします！ (2020年6月10日 20時) (
レス) id: b16f658eef (このIDを非表示/違反報告)
桜華詩歌(プロフ) - 陷さん» コメントありがとうございます！頑張って更新していきたい所存です！長期になってしまうかもしれませんが、応援してくれれば嬉しいです (2020年6月10日 20時) (レス) id: b16f658eef (このIDを非表示/違反報告)
あいね(プロフ) - 前のやつから続き待ってました、、、、待ってます。。 (2020年6月10日 19時) (レス) id: ab5cfb78f3 (このIDを非表示/違反報告)
陷(プロフ) - 続き………楽しみ……に…………待ってます……頑張ってください………好きです…(尊死) (2020年6月5日 0時) (レス) id: 5a66a96c08 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜華詩歌 | 作成日時：2020年5月28日 0時
