26話 それはない ページ29
「はい?」
思わず口から洩れてしまった。でも仕方ないだろう。勝ち目はほとんだないんだから
「まさか、勝てるわけないと思い込んでるんじゃないだろうな」
何それ。心見透かされてる感じ。
「いえ。むしろ燃えますよ」
言っちゃった!バカじゃん。仕方ない。やるかぁ
相手ボールから始まる。二人とも走り出してるからパスで交わされるのを見越して間のボールをパスカット。ギリッギリとれた。ここから攻めるしかないけど。一人。ここでボールを蹴り出して自分で奪うのもやりたいけど体格で負けるのは目に見えてる。
普通にドリブルをして、近づいてきたら対面して確実に抜く。
シザースを連発し意識させたところで股抜き。それもやったらメイア・ルアやマルセイルーレットを使う。息切れがしてる気がするけど気にしない。
氷織君を抜いて、ゴールまで14m。初めてゴールを狙ってみる。
どう蹴ろう。空中で?それとも普通に?回転は?中心?
となりに烏君が走ってくるのが見えた。シュートを止めに来たのかな。
じゃあ予測不可能なボールにしよう。このまままっすぐじゃだめだからボールの中心を意識して
足に余分な力は込めずに蹴る。
「こんくらいやったら解りやすいわぁ。...は?」
ボールは無造作に動いてる。なにせ回転はかかってないからふよふよとしたボール。
烏君が止めようとして蹴るもスカっと空を切った。
そのままボールはゴールした。
「ゴールってこんなに気持ちいいんだ。」
興奮して手が震える。息が切れてドクドクと心臓が脈打つのが分かる。
「どうだ、2日目のサッカーは。世界変わっただろ?」
「はい...もっとやりたいです。」
「なんや若瀬...非凡すぎるやろ...」
「悔しいくらいに見事に抜かれたわぁ。それ僕にも教えてや」
途中、知識で補えなくなったから二人見て学んだんだけどね。
「もっとプレーしたいです!あとどのくらい」
「残念だがもう10時30分だ。シャワー浴びて早く寝ろ。」
「そうですか...じゃあまたね。生き残ったらいつか会おう」
「おう...」
シャワーを浴び、部屋に戻った。程よいくらいに疲れ、眠気に襲われそうになる。
しかし、さっきのゴールを思い出すと目が冴える。
今日は潔の布団にお邪魔させてもらう日なので、もそもそと入る。
...何時になってもさっきのゴールのせいで眠れない。まずい
あれ、潔も眠れないみたい
「まだ起きてんの?寝ようよ」
あれ、イガグリ今日は寝相いい!?
「明日で...決まっちまう...なぁ...」
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しは(プロフ) - めっちゃ面白いです! (2022年12月31日 1時) (レス) @page35 id: e927209d21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくらば | 作成日時:2022年11月29日 23時