38話 糸師凛 ページ42
ていうか元のあの自室ってどうなったんだろ、とかを考えながら長い廊下を歩く
1人でこの廊下ってちょっと怖いな
明かりが少なく、薄暗く冷たい廊下を歩いていると曲がり角で誰かとぶつかる
「わあぁ!あ...すみません」
思わず変な声が出てちょっと恥ずかしくなる。顔を見上げると糸師さんだった。おそらく、練習場で遅くまで練習していたのだろう。頬に汗が垂れている
「こんな遅くまで練習してたんですか?糸師さん。タオルあげますよ今洗濯したばかりなのでふわふわですよ」
「その呼び方はやめろ。俺はあいつと一緒じゃない」
タオルを受けとりながら糸師さんはそう言う。タオルで汗を拭く姿がかなり絵になってつい見惚れてしまう
「あ...あ、じゃあなんて呼べばいいですか?凛さん?それとも...」
「好きにしろ」
からかったら怒られるかな、これ。凛ちゃんとかあだ名つけちゃダメかな
「分かりました!じゃあ凛ちゃんって呼びますね」
好奇心に負けて言ってみる。案外怒ってはこなかったし少し目が開いてその下まつげが強調される。長くて羨ましいな
「...好きにしろ」
そう言い残して廊下を歩いていった。よくこんな薄暗いのを歩けるな、肝が据わってる
...あれ、これよくよく考えたらまた一人じゃん
地図はあるがこんな長い廊下を一人歩くなんて心細い。どうしよう不安になってきた
「り、凛ちゃーん!やっぱ待って!」
その声に反応して一瞬ピタっと止まる。でもまたすぐに歩きはじめた
「ねえまって、置いてかないで!」
置いて行かれる気がしてなにもいないはずの何かから逃げるように凛ちゃんに飛びつく
「なんだよ、俺は今からシャワーを浴びに行くからお前はお前のところに行け」
「お願い...廊下怖くなってきたから一緒来て...」
「はぁ?お前は幼稚園児かよ」
とか言われるけどカゴも持って着いてきてくれてる。優しい
「そーいや、凛ちゃんってこんな薄暗いとこ平気なの?」
「ああ」
はえーすごいねー。と他愛もない会話をする。せっかく着いてきてもらってるから近くのシャワールーム案内しようかな
「ごめんね、こんな子供じみた我儘言っちゃって。お礼何がいい?」
「いらねぇ」
やっぱ優しい。てかさすがにお礼はさせてくれ...
「じゃあ、マッサージしてあげるよ。ゴールボーナスのあれほどじゃないと思うけど」
昔はよくお母さんの肩揉んだりとかしてたな...
とか思い出していたらシャワールームに着いた
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しは(プロフ) - めっちゃ面白いです! (2022年12月31日 1時) (レス) @page35 id: e927209d21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくらば | 作成日時:2022年11月29日 23時