20話 覚醒 ページ23
こぼれ球は全員が拾いに行ってなんとか死守した。けど、もう動きも武器もバレてる中だから相手はそこを押さえてくる。攻めれない。
潔が初めて一人で突破しようとする。でも止められる。そうだ。潔の武器はどちらかというとサポート側の空間認識能力とサポートされてこそのゴールの匂い。
それでも諦めてない。なんどでもトライしている。それに合わせて全員がプレスしている。
ただ、一人を除いては。
千切にパスがいく。でも
「どけ!千切!」
潔が千切を飛ばす。千切はその衝撃で倒れ込む。でもその表情はどこか寂しげだ。
そしてゆっくりと立ち上がり、走るフォームに入る。
飛び出した!今までの表情とはまるっきり違う。どこか吹っ切れたようなすがすがしい表情。
潔はそれに合わせるように千切が走っているところの一直線上にパスを出す。ギリギリだけど、きっと今の彼ならもう届く。
自分でボールを前に出して、自分で追いつく。周りのやつらは全員ブチ抜いている。
GKは前に出ている。このボールを触れたら、きっと得点できる。
誰も追いつけなかった千切は一人で立ち向かった。
GOAL!!
決まった...決まった!
ピピーッ第七試合 チームZ対チームW! 4-4で引き分け!
これで、とりあえず負け確は免れた。
「千切!よく走ったね!」
思わず、みんなに合わせて抱き着いてしまった。
「ちょ、若瀬...」
千切は若干頬を赤くしていたがかわいいという感想しか出てこなかった。
喜びを分かち合っていたところ、後ろでは激しい音がしている。
「勝たせるっていう契約だっただろうがぁ!!」
「マジふざけんなよ久遠てめぇオラァ!!」
目をやると久遠君が蹴られていた。しかも何人からも。
「ちょっと!さすがに暴力はだめです!」
すかさず蹴ってた一人を抑えるがどうしても力負けしてしまう。
二寧坂さんも一人が精一杯らしい。
「うっせえな!邪魔すんなよ!」
抑えてたひとや周りが引き剥がそうとしてきてこっちには拳が飛ぶ。
そして鼻のところに直撃し、痛みでつい力が緩む。それに鼻血も出てきてる。
痛みで生理的な涙がポロポロと出てしまう。
「さす...がにやり過ぎですよ。本当に12-10にするつもりですか」
相手を睨むけど泣いてるせいで効果がないかも。見渡すと二寧坂さんは頬を抑えていた。
「お前、うちのマネージャーに手ェ出したな。おい」
國神君が牽制する。でもその隙に久遠君はどこか行ってしまった。
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しは(プロフ) - めっちゃ面白いです! (2022年12月31日 1時) (レス) @page35 id: e927209d21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくらば | 作成日時:2022年11月29日 23時