fantasysnow (ページ4)

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続ページ4

「必然だったらいいよね。」
そんな言葉が自然と口から出てきた。

一瞬の静謐。
じぃっと俺の目を見る。まるで心が見透かされてるようだと思った。自分でも気付かないうちに言葉の裏に混ざる僅かな独占欲。誤魔化したい気持ちで言葉を続ける。

「さ、佐久間はどう思ってるの。」

彼は小首を傾げてからこちらに顔を近づけてきて、至近距離でにこっと笑う。

「必然でも偶然でもどっちでもいいよ。阿部ちゃんはずっと俺の側にいてくれるんでしょ。」

時が止まった気がした。
りんごジュースの甘い匂いだけが知覚できた。

佐久間さーん、準備おねがいしまーす。スタッフが佐久間を呼ぶ声を遠くに感じる。はーいと返事をして駆け足で向かう彼をぼんやり眺める。

さっきの言葉を何度も反芻する。俺は彼が言わんとしている事がようやく分かった。そして、頬がかあっと熱くなるのを感じた。

全く、恐れ入る。
俺は佐久間についてまだ知らない部分が沢山ある。でも、佐久間は俺が自分でも気付いてないことまで俺の事を分かってるみたいだ。

知的好奇心を刺激する。
あいつを理解するにはだいぶ時間がかかりそうだ。ゆっくりでもいい、そう一生かけて知っていこう。きっと、佐久間の側に居る事が、俺自身の気持ちを知ることにも繋がるんだろう。

自分の気持ちに気付く、そう遠くない未来を想像する。なんだか、面白くて、照れ臭くて笑ってしまった。