悪女代行サービス【utit】 (ページ45)

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悪女ページ45

「ふざけないでっ！！」

杏奈さんが叫ぶ。

その場にいた誰もが、杏奈さんの豹変ぶりに驚いていた。

「私はあなたの雇い主なのよ！？どうしてくれるのよ！？私の王子を盗っていかないで！！王子は私の物なのよ！？」

今までのヒロインの演技を全て捨て、叫び続ける杏奈さん。

その言葉に誰もが失望した。

「杏奈」

淡々と。

しかしどこか軽蔑しているような声で、一ノ瀬さんが杏奈さんを呼ぶ。

「彼方…！やっぱり、あなたは私の味方よね？彼方は私だけが好きなんだものね？」

歪に笑う顔は、とてもかつてのヒロインのものとは思えなかった。

「退学だよ」

「え…」

「まずは今回の件。次にテストでの不正行為。そして、他校生徒への恐喝。充分に退学処分となる理由はある」

え？

不正？恐喝？

「か、彼方？どういうこと？」

「杏奈がいじめられてるって言うから、生徒会長として調べてみたんだ。そしたら、神崎さんじゃなくて、杏奈の悪い情報しか出てこない。その時は神崎さんが悪い噂を流してる可能性もあったから黙ってたけど、今日で確信したよ」

嘘…。

そんなことまでしてたの？

私、こんな人の為に悪女をしていたの？

「違う…違うのよ…？ねえ、助けて…？」

もう、誰も何も言わなかった。

その後、先生達が来て杏奈さんを連れて行った。

まもなく、退学処分が決まったそうだ。