悪女代行サービス【utit】 (ページ42)

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悪女ページ42

けれどその時、

「杏奈！？どうしたの！！」

勢い良く開かれたドア。

そこに立っているのは、王子の相川くん。

そして後ろには浦田先輩がいた。

相川くんは杏奈さんに駆け寄り、私を強く睨む。

「君が杏奈をいじめているの！？そんなことして楽しいの！？もう止めてよ！？」

「まふ…ありがとう…」

さすが杏奈さん。

弱々しく座り込み、涙を流す。

完璧にヒロインを演じている。

さて、取り合えず今週末までは契約期間。

いっちょぶりっ子かましますか！

「ち、ちがうんだよぉ…。杏奈ちゃんが悪いのぉ…！Aの王子様と仲が良いからぁ～！」

相川くんは汚物を見るような目で私を見ていた。

いや、それさすがに傷つくんですが…。

まあいい。

これで私の仕事は終わり。

のはずだった。

「そうだね、俺はAちゃんの王子様だもんね」

「はあ！？」

やば…。

相川くんと驚きの声が重なった。

先ほどまでのわざと高く出していた声と全く違う私の地声に驚く相川くん。

ボロを出した私を般若のような顔で睨む杏奈さん。

違うんです二人とも…。

全てはこいつが悪いんです。

「う、浦田先輩ぃ～。ごじょおだんをぉ…」

キツイ。

これはさすがに無理がある…。

てか、ニタニタ笑うな！

「うらたさん、どういうことですか」

明らかに動揺している相川くん。

質問された浦田先輩は、笑うのを止めると私のカバンのもとへ。

「ごめんね、Aちゃん」

そう言うと、その脇に置いてあった紙を手に…。

「っ！？だ、ダメです！浦田先輩！止めてください！！」

浦田先輩が手に取った紙を取り戻すべく飛びかかるが、いとも簡単にかわされてしまう。

「これを見ればわかる」

「浦田先輩！！」

私の変化にさらに動揺する相川くん。

そして浦田先輩から渡された紙…いや、契約書を見て顔を青くした。

「これ、本当なの…？」

「詳しく話す。生徒会室に来い。全員集めるぞ」

その時の杏奈さんの顔は怖くて見れなかった。

けれど、とてつもない殺気が私にのしかかっていた。