悪女代行サービス【utit】 (ページ25)

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王子ページ25

sideうらた

「揃ったね～。じゃあ始めようか」

なんて気の抜けたそらるさんの言葉で生徒会会議が始まる。

といっても、メンバーは三人しかいないんだけど。

「えっと今日は、文化祭の予算案について。何か意見ある人ー？」

ゆるいな。

いつものことだけど。

なんて思いながら、手元の資料に目を通す。

すると、扉を叩く音が響いた。

「失礼します」

そこにいたのは杏奈だった。

最近、しょっちゅう来るな。

「悪い杏奈、今大事な会議中だから。後ででいい？」

いやいや、そらるさん。

大事な会議だったらもっとちゃんとしましょうよ…。

まあ、でも、

「杏奈！よかったら会議に参加しない？いいですよね？そらるさん！千尋ちゃんも！」

これでAちゃんに協力できてるかな？

「私は大歓迎です！」

「はあ、千尋がそう言うなら仕方ない」

なんてそらるさんが言うとあからさまに杏奈の顔が歪む。

まったく、どうして俺は今までこいつの本性に気づかなかったのだろうか。

「杏奈は俺の隣な！」

だけど、俺はこうして杏奈に好意を寄せているように見せる。

センラから送られてきた録音。

あれを聴いて驚いた。

だってAちゃん、センラに脅されて声が若干震えていたから。

それで俺は、Aちゃんがなるべく怖い思いをしないよう、杏奈に落ちたフリをすることにした。

まあ、それ以上に驚いたのは、そらるさんが録音聴いてもこれが杏奈がいじめられている理由にならないって言ったことだっけど。