悪女代行サービス【utit】 (ページ19)

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悪女ページ19

二人は声の主を見て固まっていた。

そして、その人は腕を組み、不機嫌そうに二人を見ていた。

「まあ、千尋は許そう。自分の仕事は終えていたからね。でもうらたくん？サボりは良くないよね？」

「は、はい！そらるさん！今からやります！」

そう言うと浦田先輩は、全速力で何処かへ行ってしまった。

すごいなこの人。

何者だ？

あ、生徒会長の一ノ瀬彼方さんだ。

杏奈さんが言ってた王子の一人。

「うらたくんを呼びに行ったまま戻ってこないから心配した…」

「すみません、一ノ瀬会長」

おや？

おやおや？

一ノ瀬さん、若干顔赤くないか？

え？

そういうこと？

「次からは気をつけてね」

「はい」

きゃー！

一ノ瀬さん、去り際に東堂さんの頭撫でて行きましたよ！

東堂さんはからかわれたと思ったのか「子どもじゃないです！」って言ってるけど。

すごい、少女マンガみたい！

私、空気だった！

「神崎さんはもう帰られますか？」

一ノ瀬さんがいなくなった後、東堂さんに尋ねられる。

「え、あ、はい」

「よかったら一緒に帰りましょう？棗ちゃんと帰る予定なんです」

「いいんですか？」

いや、ね？

悪女やってるから友達が少ないからさ…。

こういうの憧れるんだよ。

でも…

「もちろん」

依頼に支障が出るかもなんだよね…。

でも仲良くしたい。

うん。

依頼に支障なきゃ大丈夫だよね？

「生徒会室に荷物あるので取ってきます。棗ちゃん、教室にいると思いますので」

「わかりました。待ってますよ」

「ありがとうございます！」

東堂さんと別れた後、くろちゃんと合流した。

東堂さんに演技がバレたの笑われた。

解せぬ。

けど、東堂さんは杏奈さんの本性を知らないとのこと。

つまり、東堂さんには悪女代行サービスについて教えられない。

どうしよう。

せっかく仲良くなったのに、仕事のせいで友達になれないなんて嫌だな。

うん、隠そう！