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結局、数週間後に行われた大学対抗の新人戦も、いつの間にか郁弥と遠野くんは会場から姿を消していて、ハルたちが話をする機会はなかった。
聞くところによると、中学ときにハルと郁弥はフリーの勝負をすると約束したらしい。
けれど、その約束が果たされる前に、ハルは水泳部を辞めてしまい、郁弥はそれに怒っているのではないかと言っていた。
私には怒っている風には見えなかったけど…。
どうしたものかと考えあぐねているうちに、気づけば大学の入学式から1ヶ月以上過ぎてしまっていた。
ゴールデンウィークが終わりを迎え、眠い目を擦りながら授業を受け終えたある日。
久しぶりに宗介から連絡がきた。
画面に表示された山崎宗介の文字に驚くと同時に、どうしたのだろうと直ぐに連絡先の画面を開いた。
“今東京にいるんだが会えるか?”
送られてきた文章はそれだけだったが、驚くには十分だった。
東京!?今!?
あまりにもびっくりして、教室で思わず声を上げそうになった。
なんでこの時期に。
今日はもう授業もないので、これから会えると返事をして、足早に教室を出た。
宗介に、会える。
久しぶりに顔をみて話せることが嬉しくて、思わず頬が緩んだ。
待ち合わせは駅前のカフェにしたが、私が着いた時には既に宗介は席に着いていた。
ここの駅は改札口は1つしかないから、普通ならこのカフェも直ぐにわかるだろうと思っていたが、どこかで方向音痴の彼のことを心配していた。
杞憂でよかった。
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作者名:蘭 | 作成日時:2022年10月6日 14時