サクラソウ【山崎宗介】2 (ページ3)

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私が通う霜狼学院大学の水泳部は中々に戦績が良いらしく、部室にはいくつものトロフィーが飾ってあった。

プールの設備も整っており、野ざらしだった岩鳶高校のプールとの違いに感動してしまった。

季節や天候を気にせず部活ができるなんて素晴らしい。

確かハルが通っている燈鷹大学も、水泳に力を入れているらしい。

もちろんハルも水泳部に入部し、なんとそこで中学時代の同級生である椎名旭に再会したそうだ。

今日は部活終わりに岩鳶から東京に出てきたメンバーと約束がある。

旭のお姉さんが東京で喫茶店を営んでいるらしく、そこで待ち合わせだ。

郁弥も誘おうと部活終わりに声をかけたが、ことごとく遠野くんに邪魔をされてしまった。

仕舞いには、

「郁弥は忙しいんだよ。もうすぐ新人戦もあるしね」

遠野くんにそう言われて、誘いを断られてしまった。

前にハルの話を郁弥にしたときも、あまりいい顔をしていなかったし、何かあったのではないかと勘ぐってしまう。

中学のときにハルが水泳部を辞めてしまってから、郁弥とも関わる機会も減ってしまい、ハルたち4人の仲がどうなったのかまでは把握していなかった。

真琴は普通に旭や郁弥と接していたみたいだから、仲は良いままだと思ってたんだけど。

＿＿＿＿＿＿

『…ってわけで、郁弥は誘えなかった』

「なんだよ！その遠野ってやつ！」

事の次第をみんなに話すと、旭は遠野くんにご立腹のようで、荒々しく机に飲み物が入ったグラスを置いた。

なんで遠野くんが郁弥の交友関係に口を出すのかはわからないが、新人戦が近いから練習に集中したいという言い分も納得できてしまうので、こちらも強く言い出せない。

『…また明日誘ってみるね』

また邪魔されないといいけど。