明日、ハレルヤｰinarｰ (ページ10)

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大貴side

光先生と手を繋いだまま連れて行かれたのは、やっぱりICUだった。

中には入らせてもらうことはできなかったけど、窓越しにいのちゃんと会わせてもらえた。

少し狭いICUの部屋にぽつんと置かれたベッド。

そこで眠るのは、たくさんの機械に囲まれたいのちゃんだった。

中と繋がっている電話の受話器をとって、いのちゃんに話しかける。

大貴「いのちゃん…」

名前を呼ぶと、うっすらと目を開いて、俺を捉えた。

薮先生がいのちゃんの口元に受話器を近づける。

耳に受話器を当てると、か細いいのちゃんの声が聞こえてきた。

慧「大ちゃ…大丈夫…だよ？」

そう言ってふわっと微笑むいのちゃん。

今なら、いや、今しか言えない気がした。

大貴「いのちゃん、…ごめん。」

いのちゃんの瞳が揺れた｡

大貴「俺…外に連れ出しちゃった…」

俺の言葉を聞いて、いのちゃんが喋ろうとする。

けど、息苦しくなってきてしまったのか、受話器から聞こえるのは、荒々しい呼吸の音になってしまった。

代わりに、薮先生が俺に言った。

薮「大ちゃんのせいじゃないよ。慧、ちょっと疲れちゃったみたい。明日ね。」

そう言って一方的に切られると、窓越しに、いのちゃんが処置されているのが見えた。

光「大ちゃん…」

大貴「光せんせ、…おやすみ。」

光「え、部屋まで送っていく…」

大貴「いい…俺…1人で帰れるから。」

光先生はそれ以上何も言わなかった。

追いかけても来なかった。

でも今はそれでよかった。

必死に堪えている涙が、溢れてしまいそうだったから＿。