明日、ハレルヤｰinarｰ (ページ8)

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大貴side

ぎゅっと胸を押さえて倒れこんだいのちゃん。

そのまま目を閉じると、力が抜けたのか、手がだらりと床に垂れた。

人通りがそもそも少ない此処でどうやって助けを求めたらいい？

いのちゃんを死なせたくない、でも、此処には誰も…

考えていくうちに呼吸が苦しくなっていく。

過呼吸だと思う。

頭では分かっているのに、苦しくて、酸素を取り込めない体に、視界がぼやけていく。

「大ちゃん！」

その声の方を必死に探すと、息を切らして近寄ってくる薮先生。

薮「慧、発作か…大ちゃん、ゆっくり深呼吸しよう、ほら…」

薮先生の真似をして息を吸ったり吐いたり、そのうち呼吸はだいぶ治まってきたけど…

薮先生がいのちゃんの脈をとる。

薮「弱いけどまだ間に合う。慧、もちあげるよ。」

意識のないいのちゃんに声をかけて、ひょいと持ち上げる。

そして、俺も｡

病気の関係で軽い体は、いつもは凄く憎く感じているのに、この時ばかりは軽くてよかった、と感じてしまう。

都合のいい奴だな。

薮先生に抱えられて病室に着けば、光先生がいた。

光「薮！」

駆け寄ってくる光先生に、俺をおろしながら薮先生が言う。

薮「大ちゃん、さっき過呼吸になっちゃったんだ。治ったけど、発作の誘発に気をつけて。慧、今やばいんだ。急いで治療しないと…」

光「ああもうわかったから｡早く行って！」

薮先生はいのちゃんを担いで、病室を後にした。

静かになった空間に取り残される｡

光「大ちゃん？ベッド戻ろっか。」

静かに頷いて、ベッドの中に入る。

光「ご飯、食べれる？」

ふるふると横に首を振ると、光先生は俺の頭を撫でて頷いた。

光「そっか。…いのちゃん、大丈夫だよ。薮だもん。絶対守ってくれる。」

俺の不安そうな顔を見て、言ってくれたんだろう。

でも、俺の心は、全く晴れる気配はなかった。