明日、ハレルヤｰinarｰ (ページ44)

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慧side

最近著しく数値が悪くなっていたらしく、大ちゃんは安静を言い渡されてたようで。

それを知らずに俺は中庭に誘ったんだ。

ICUに行くと、いつもよりたくさんの機会に囲まれている大ちゃんがいた。

魘されているのかもぞもぞと体を捻っては、光先生が布団をかけ直している。

中に入りたい、けど今入ったところで邪魔になるだけだよね…

山田「此処にいた、慧くん。」

ぽんと頭に手が乗っかる。

見上げると、悲しそうに微笑む山田さん。

目線を大ちゃんに戻して、呟くように言った。

慧「大ちゃん、熱高いみたい。発作も出てるみたい。…辛い….みたい。」

俺の言葉に、反応はなかった。

もう一度山田さんの方を向けば、その目線は大ちゃんでも俺でもなく…

山田「裕翔…」

数メートル先に佇むスタイルの良い男の人。

彼も確か芸能人。

中島裕翔。

裕翔「やま、久しぶり。暫く仕事が詰め込んであってさ、なかなか来れなかったんだ。」

俺たちの前に立ってそう優しく笑いながら言う裕翔さん。

普通の報告。

棘のある言葉なんて何ひとつ言ってない。

だけど。

山田「俺が悪い。俺が…迷惑かけてごめん。俺がこんなんじゃなきゃ、ごめん。裕翔1人に背負わすなんて俺…」

自分自身を責め立てる山田さん。

裕翔「やま、俺そんなこと言ってないよ。やまはちょっと休憩中なだけじゃん！休むことも大切…って、やま！！」

裕翔さんが優しく投げかけた言葉は、今の彼には届かない、いや、届けるのが難しい。

山田さんの肩に手を置こうとした裕翔さんの手は空を切り、山田さんはその手から逃げるように何処かに走っていってしまった。

慧「待って！待って山田！」

呼び捨てしちゃったことは後で謝れば良いんだ。

そんなことより、山田さんを助けたいんだ。

いつも誰かを助けるのは大ちゃんだった。

俺はいつもそばで見てるだけだった。

でも今は…。

大ちゃん、君の力を少しだけ貸してください。

山田さんを追いかけるその裕翔さんの背中を、俺は追いかけていた。

気づいたら俺は、走って追いかけていた。

___走っていたんだ。大事な人の心を、守るために。